「神(アラー)は偉大なり」

1月7日、フランス・パリにある風刺週刊紙『シャルリー・エブド』編集部内にカラシニコフ銃を持った男が押し入り、冒頭の言葉を絶叫しながら警察官2名を含む計12人を射殺した。
実行犯のサイド・クワシ容疑者(34)とシェリフ・クワシ容疑者(32)の兄弟はその後、近郊の印刷所に立てこもっていたが、9日に当局の特殊部隊により射殺された。

「事件は"同時テロ"であり、警官射殺やスーパーでの立てこもり事件も起こっています。これらは同一の過激派グループのメンバーによる犯行と見られており、治安当局に衝撃が走っています」(全国紙外信部記者)

襲撃の動機は、同紙がイスラム教の預言者ムハンマドの風刺画を掲載したことに対する報復とされているが、「理由はそれだけではない」と日本の外務省関係者は語る。

「実は今、『イスラム国』の影響で、世界中のイスラム過激派のテロ機運が高まっているんです。今回の犯行グループは、アルカイダ系組織とのつながりが指摘され、イスラム国との直接的な関係はないとされていますが、イスラム国が蔓延(まんえん)させた"熱狂"に影響された可能性は高い。フランスは昨年9月、アメリカに続いてイスラム国への空爆を実施しました。それが、フランスがテロのターゲットにされた遠因ではないでしょうか」

しかし、今回の襲撃で判明した、それ以上に恐ろしいのは、テロがより高度化しているということだ。
「イスラム過激派によるテロといえば、爆弾スーツを用いた自爆テロというイメージがありましたが、今回の襲撃は異質なものでした。新聞社を襲撃した兄弟の動きは、高度な軍事訓練を受けた人間のものだと指摘されています。襲撃に使用されたカラシニコフ銃は、命中精度が低いんですが、遺体は額などの急所を一撃で打ち抜かれていたという情報もありますからね」(前出・記者)

ほかにも、関係スタッフが集まる編集会議を狙って犯行に及んだ用意周到さや、命乞いをする警官を迷わず射殺できる非情さは、特殊部隊を思わせる。

軍事ジャーナリストの井上和彦氏は言う。「私も犯人は軍事訓練経験者だと思います。フランスには、現代では珍しい外人部隊が今も存在しており、アフリカ系のイスラム教徒なども在籍しています。彼らが除隊後にテロリストに転じた場合、フランス軍や治安当局の練度や防衛戦術が、筒抜けになる恐れがあるでしょう」

再発を防げるか……!?

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