ターフに刻まれし快走劇!名馬烈伝 ホースダング神津
ナリタブライアン「シャドーロールの怪物」は異次元の強さだった


「史上最強!」と呼ばれる名馬を語る時、ナリタブライアンの名前は必ず挙がってくるだろう。威風堂々、スーパーエンジンがギュ~ンと超加速! 完膚なきまでに、他の馬たちを後方へと置き去りにしてしまう。まともに走られてしまったら、もう誰も敵わない。そんな説得力がある走りだった。

「シャドーロールの怪物」と呼ばれる剛力。シャドーロールとは、鼻の上あたりに装着して、下の視界を遮ることで馬を集中させる矯正具のこと。当初、レース中に自分の影に驚いていたブライアンは、大器へと成長するにつれ、おそらくシャドーロールの必要性はなくなっていたが、そのままトレードマーク、縁起担ぎとして付けて走るようになった。それにしても、あれほど強かった馬がかつては自分の影に怯え、おっかなビックリしていたとは……。基本的に、サラブレッドは臆病な動物とはいえ、意外かつ、面白いエピソードである。

1993年にデビューしたブライアンは、しばらく勝ち負けを繰り返していたが、覚醒したのはちょうどシャドーロールを付け始めた頃の京都3歳Sからだ。この競走で3馬身差の激走を披露。以後、爆勝に次ぐ爆勝を重ね、1994年、皐月賞を3馬身半、ダービーを5馬身、菊花賞を6馬身差で勝ち、見事クラシック三冠馬となった。

さらに、続く有馬記念でも、ヒシアマゾンやライスシャワーといった強豪たちを3馬身差で撃破。いやはや、「絶対王者」の風格を存分に漂わせ、もう手がつけられないほどのパフォーマンスだった。

翌年、阪神大賞典でまたもや6馬身差もの完勝劇を演じ、さらなる連勝モードに入るかと思われた。しかしその矢先、残念なことに、股関節炎を発症して、休養を余儀なくされてしまった。

秋に復帰したブライアンだったが、以前の圧倒的な姿は影を潜めるレースが続く。そんな中でも、1996年に阪神大賞典で激突したマヤノトップガンとの死闘は、いまでも話題に上る伝説化したレースとなっている。

第3コーナー過ぎから他馬を置き去りにして、2頭のマッチレース。お互い一歩も譲らない。ビリビリ痺れるような叩き合いが繰り広げられ、ゴール板でブライアンが頭差交わしたのだ!「これぞ、競馬の醍醐味」と唸ってしまう名勝負であった。

その2走後、ブライアンはスプリント1200mのGⅠ・高松宮記念に出走。ここで4着に敗れると、不治の病・屈腱炎で現役生活に幕を下ろした。

爆烈ホース・ナリタブライアン。全盛期の彼の走りは、間違いなく、異次元の強さだった。


~ホースダング神津 今週の注目馬~
【日曜京都11R シルクロードS】
ワキノブレイブ 重賞では今一歩という感もあるが、その分オッズは期待できそう。そんなに軽視できない末脚は持っている。

【日曜京都10R 松籟S】
メイクアップ 前走は5着とまあまあな印象。昇級2走目で勝ち負けを!

【日曜東京11R 根岸S】
ポアゾンブラック 休み明けでもわりと仕上がった。チェックしておきたい。

追加情報等はホースダング神津ブログをチェックしてください
http://ameblo.jp/sniperkozu/


■ホースダング神津(こうず)プロフィール
1970年生まれ。週刊大衆編集部で競馬記事を担当。昨年度は京都大賞典馬単5090円、スプリンターズSワイド4370円、アンタレスS3連単1万6260円、宝塚記念複勝820円などを的中させている。

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