証券会社は手数料が目当て!

岡村正一さん(60=東京都在住)は自身の財産のほとんど、実に約4000万円を株式投資で失った。
悪夢の契機は、約2年前に、知り合いの紹介で人生初の株式投資を始めたこと。
テレビCMでも知られる大手証券会社だったことから、すっかり信用したという。
「最初の担当者との間で1000万円損したときにやめればよかった。しかし、その会社のお客様相談室に文句を言ったら、"成績優秀な担当者に替えます。それで取り戻してください"と言われたんです」(岡村氏)
以降、岡村さんは新しい担当者から毎日かかって来る電話の指示に従い、頻繁に売買を繰り返した。すると、損失はさらに約3000万円にまで拡大。
「これは法律で禁止されている"一任勘定"(すべて証券マンに任せること)に抵触する可能性があると知り、提訴も検討しました」

しかし、会社側にそれを伝えると、平然とこう言い放ってきたという。
「担当者はあなたに購入する理由も銘柄も告げ、あなたは、それに"はい"と同意していました。だから違反ではありません」
岡村さんにしてみれば、証券会社が損を取り戻すために指名してくれた担当者。そして、自分に株の知識がないから信頼して従ったわけだが、これだと証券会社側はセーフのようだ。
「証券会社にとって、投資の結果など、どうでもいい。収入は売買手数料ですから。大きい売買を頻繁に繰り返すほど、儲かるんです」(ベテラン証券マン)

一方、埼玉県在住の安藤貞子さん(70)のように、信用ある企業の不良社員に騙されるケースも。
「65歳のとき、契約している生命保険の"医療特約"が更新時期を迎えたので営業マンと久々に会いました。すると、"いい投資話がある"と持ちかけられたんです。"うちの保険に入っているから、元本は保証される"とも話していました」その言葉に安心した安藤さんは2500万円を出資。
「ところが、出資先が倒産したとのことで、利益がないどころか、一銭も戻ってきませんでした。その後、告訴し、営業マンは逮捕されましたが、保険会社は"社員が勝手にやったこと"の一点張りで、お金は今も戻ってきません」

こうした事例について、フィナンシャル・プランナーの青山重雄氏はこう語る。
「生保の営業マンは、契約を取れないと数か月で固定給がゼロになるシビアな世界。皆が必死ですから、各社、毎月のように客とトラブルを起こし、クビになる者が続出しています」

また、安藤さんのケースのように、生命保険の"医療特約"は60歳ないし65歳で更新時期を迎え、保険料は跳ね上がる。だが、これを機に、新たな保険契約を結ぶのは大変危険だ。
「ただの更新では営業マンの成績にならない。ですから、"公的介護保険だけでは要介護度が高くなった場合に賄えないですよ"などと、自社の介護保険を売り込んできます。"医療特約"にしても、70歳になれば医療費は1割負担で済むことを思えば、更新しないのも一つの考えです」(前同)
また、医療とともに気になるのが老後の生活。"面倒を見てくれそうな人もいないし、いずれは老人ホームへ……"と考える方もいるだろう。だが、ここにもワナが存在する。

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