ユニフォーム姿…背番号「8」の上を歩けというのですから恐縮します。かなり躊躇しましたが、意を決しました。ただ、エチケット的に練習で汚れたソックスで踏むのはいかがなものかと思い、ソックスは脱ぎ「失礼します」と声を掛けて背中へ。

ビックリしました。身体が凄く柔らかい。僕は、足の裏から松永さんの身体の厚みを感じました。太腿の弾力もビックリするほど。今まで、実感したことがない筋肉でした。

ある種の感動を覚えながら踏んでいたのですが、踏み方を間違えたところがあったようで突如、松永さんは「痛て!」と呻いたのです。すると、今まで柔軟だった筋肉が一転、緊張モードへ。想像できないくらい、堅くなったのです。この時、僕は「これがプロの身体か!」とぶっ飛びました。

松永さんは僕を目にかけてくれた大先輩。キャンプ初日、最初に声を掛けてくれ、キャッチボールをさせていただいた方です。一方の僕も、オリックスに入団が決まった時、一番仲良くさせていただきたいと思っていた方は松永さんでした。

というのも、松永さんは高卒からテスト生で入団。最初は用具係でした。そこから人一倍努力して、チームを代表する一番バッターに這い上がった方です。顔は「くせ者」系ですが、性格はサッパリ系。僕にとって一番いい人でした。

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