「今すぐに出ていけ。殺すぞ」

「もう、しょうがないと思ってリーダーに取材を申し込んだところ、応じてくれたんです。"この地にイスラム法で統治するイスラム国を建国する。アメリカなど西欧諸国に対して戦いを挑むつもりはないが、国家樹立を邪魔するなら日本も敵と見なす"と言っていたことを覚えていますね」
取材後、横田氏のコーディネーターとリーダーが問答を始めた。

「10分ほどのやり取りのあと、急にISISに"今すぐ国外に出ろ"と言われました。苦労してシリアに入った当日だったので、"あと1日だけ滞在させてくれ"と頼んだんですが、"今すぐに出ていけ。殺すぞ"と言われましたね」
拠点を出て、横田氏はコーディネーターから詳しい会話の内容を聞いた。
「執拗に"2000ドルで、その日本人を我々に引き渡せ"と言われたそうです。"それはできない"と突っぱねてくれたから解放されましたが、もし売られていたら、今頃、どうなっていたかわかりません」

横田氏に危険地域で最も重要なことを尋ねた。
「信頼できる現地の人間、これに尽きます。私が解放されたのも、コーディネーターのおかげ。最後は人だと思います」
その言葉を裏付けるように、人質となってしまった後藤氏の最後の連絡は「現地ガイドに裏切られた」というものだったという。
「今回、イスラム国を直接的に空爆した米英ではなく、日本も狙うことで、彼らは世界中を牽制できる。イスラム国の敵への支援を表明するだけでテロの対象になるぞ、という警告ですね」(前出・全国紙外信部記者)

21日、ツイッター上で、イスラム国関係者と見られる人物の不気味なメッセージが公開された。
〈日本人へ。お前たちはあまりに楽天的だ。遠く離れた安全な場所にいる、と思っているのだろう。しかし、我々の兵士はどこにでもいるのだ〉
もはや、イスラム国は対岸の火事ではない。

本日の新着記事を読む

  1. 1
  2. 2