地震大国のわが国は、常に災厄と隣り合わせなのだ。各地域の危険度を確認し、備えを十全にしておこう。

阪神地区に多くの悲劇を生んだ巨大地震が発生してから20年が経った。さる1月17日には、被害者の追悼式典が神戸市内で行われ、出席された天皇皇后両陛下や遺族らが犠牲者の冥福を祈った。
「実は、その直前の14日に、不気味な現象が発生したと話題になっているんです。それは、"地震雲"と呼ばれる、巨大地震の前に現れるとされる特徴的な雲のこと。もちろん、これが予兆現象であるという科学的根拠はありませんが、この雲が確認された関西・東海地域では、不安の声も上がっています」(全国紙社会部記者)

西日本だけでなく、東日本でも地震の恐怖は大きい。M9.0を記録し、2万人以上の犠牲者を出した2011年の東日本大震災以来、関東や東北では地殻活動が活発化。地面の極端な隆起や沈降が報告されているだけでなく、M6~7程度の地震が、宮城、福島、茨城、長野など各地で頻発しているのだ。
「現在、日本では巨大地震が非常に発生しやすい状況にあると、多くの専門家が警鐘を鳴らしています。政府も、地震対策を重要課題と捉え、地震予測の評価方法を改め、注意を呼び掛けています」(前同)

その対策の一環として、政府が大地震に襲われる各地の地震発生確率を示したのが「全国地震動予測地図」の2014年版だ。昨年12月19日に公表されると、その衝撃的な内容が列島を震撼させた。
「この予測地図によれば、震度5強以上の地震が30年以内に発生する確率が、千葉県の99.9%を筆頭に、東京都の90.4%、神奈川県の92.2%と、関東ほぼ全域が危険地帯となっています。震度5強といえば、東日本大震災における都内の震度と同値。あのときのように、人々が混乱するだけでなく首都圏で交通機関が麻痺し、帰宅困難者であふれるのは間違いありません」(同)
ほかにも、静岡県が75.7%、愛知県70.3%、大阪府65.7%、和歌山県82.0%と、太平洋側の主要都市で高い確率となっている。


データを見やすく地図にしたのが、この「地震危険MAP」だ。
これは、県庁所在地を基準にし、東京都なら、東京都庁付近(新宿区)で震度5強以上の地震が発生する確率(90.4%)を元に、東京都全域を、最も高い危険度5とした。
ただし、注意してほしいのは、同じ東京であっても、都庁周辺よりも、その東にある東京駅周辺(千代田区)のほうが、発生確率は92.0%へ上昇すること。これは、わずかな距離であっても、その地盤の強弱などで確率が大きく変動していることを示している。
また、震度6弱以上の巨大地震の発生確率に目を向けると、2013年版で発表された数字より、大幅に上昇している。

たとえば、東京都庁付近の確率が26.0%→46.8%へ、東京スカイツリー周辺は74.4%→81.1%へ、横浜スタジアム付近は70.2%→81.4%へ、大幅に跳ね上がっているのだ。
「わずか1年でのこれだけの変化は、さまざまな要素が影響していますが、大きな理由として考えられるのは、関東直下に位置するフィリピン海プレートが、従来の推定よりも10キロほど浅いと判明したことです。震源が浅いほど、揺れは大きくなりますからね」(地震学者)

日本の政治、経済の中心地で発生リスクが高まっているのは、非常に危惧されるが、実は、日本列島の各地でM8級の地震が襲う可能性があるという。
その危険性を訴えるのは、琉球大学名誉教授の木村政昭氏。木村氏は、「地震の目理論」という独自の予測法を利用し、昨年9月に起こった御嶽山の噴火を〈2013年±4年〉と予測していた。ほかにも、昨年11月に発生した長野県北部地震(M6.7)も〈2017年±5年〉と予想していた。

「過去、M6以上の大きな地震が発生していない空白域の中に、中小規模の地震が集中して発生するエリアがあり、それを私は"地震の目"と呼んでいます。それらの地域では、中小規模の地震の頻度が高まったあと、30年ほどして大きな地震が起きるという規則性があるんです」(前同)

上の地図には、木村氏の「地震の目」も反映させており、黒い長円形で示した震源域がそれだ。
そんな木村氏が、最も警戒しているというのが、北海道釧路沖。同地ではM8.5の巨大地震の発生が疑われており、その時期が「2010±5年」。つまり、木村氏の予測の最終年が今年というわけだ。

震源域が陸地に近い海底のため、大津波の被害も懸念される。
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