政府の想定以上の死者が出る

続けて、木村氏が警鐘を鳴らすのが、小笠原諸島沖。
象徴的なのは、2013年の出現以来、今も拡大を続ける西之島新島だろう。
「震源域が陸地から遠く、揺れは関東大震災の時のような激しいものではありません。ただし、津波が東京湾へ押し寄せる可能性はあり、対策が求められます」
そのほかに警戒が必要なのが、宮崎県の東方に位置する日向灘沖。ここにもM8.7の巨大地震が19年までに発生すると木村氏は予測している。
こちらも釧路沖同様に大津波が予想されるが、問題は震源域が「南海トラフ」沿いにあること。

南海トラフとは、フィリピン海プレートとユーラシアプレートが接する静岡県の駿河湾から、日本列島に沿って九州東方沖まで伸びる地帯を指す。
「政府が発表する南海トラフ地震の被害想定者数は、33万人、経済被害は220兆円以上。これは、日本が体験したことのない未曾有の災害です。予想される震源域の近くに名古屋や静岡など大都市が集中していることから、政府の想定以上の死者が出ると指摘する専門家もいます。とにかく、一番危険な地帯なんです」(防災ジャーナリスト)

その南海トラフ地震が、 「5~10年以内に発生する確率は非常に高い」と、指摘するのは、立命館大学環太平洋文明センター歴史都市防災研究所の高橋学教授だ。
「噴火、内陸地震、プレート型地震は別々に扱われていますが、それは間違い。すべてプレートが動くことによって生じたエネルギーによって引き起こされるもので、どういう形で表に出るかだけの違いなんです。これは大きく4段階に分けることができます」(前同)
高橋教授による、第1段階から第4段階は以下のような形で出現する。
第1段階=プレートがプレートの下に沈み込む動きで圧力が生じて起きる内陸型の地震。第2段階=プレートの沈み込みで地中のマグマが圧縮されることで火山が噴火。

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