「今後はやらない!」
と、森喜朗東京五輪組織委員会会長が、1月14日に行われた委員会の調整会議で、怒りをあらわにした。

というのも、来たる2020年に向けて、"ぜひわが競技を追加種目に"と数多くの競技団体による陳情が過熱。事務所に大行列をなされても、対応できず、陳情をもう受けないと、おかんむりなのだ。

「野球やソフトボールといった、かつての採用種目に加え、空手やボウリング、ビリヤード、はては綱引きまで、2ケタ以上の団体が猫も杓子も立候補。しかも、ボウリングは元自民党幹事長の武部勤氏が全日本協会会長、空手は菅義偉官房長官が議員連盟会長を務め、森氏にすり寄って"どうかよろしく"とプレッシャーをかけているんです」(スポーツ紙記者)

やってられんと、森氏は怒っている。だが、「この"大行列"こそ、森さんの待ち望んでいたものだったはず」だと、永田町スズメたちの間では持ち切りだ。

全国紙政治部記者が声を潜めて語る。
「13年に東京五輪開催が決定すると、招致に向けて暗躍していた森元首相は、五輪組織委のトップに就任しました。もともとキヤノン会長やトヨタ名誉会長といった財界の大物が候補として挙がっていたものの、そろって固辞したんです。"自分こそが"と思う森さんを押しのけてまでやれない、と遠慮したんです」

根っからの王様気質。とはいえ、森氏は政界で嫌われている様子もない。むしろ好かれているようだ。
「森は"気配り"のスペシャリスト。とんでもない人たらしなんですよね」
と言うのは、ベテランの政治記者。
「後輩政治家のパーティでは、必ず後援会幹部の名前をフルネームで盛り込んで流暢に挨拶するし、料亭での話芸は名人級。そして、安倍首相をはじめ、各方面の有力者たちにネクタイをプレゼントするなど、気前もいい。それに、マスコミ対応もマメで、記者ウケも抜群なんですよね」(前同)

会う人はみんな、森氏に惚れてしまうという。
「1月下旬、早くも、NTTが東京五輪のスポンサー第1号に名乗りをあげ、鵜浦(うのうら)博夫社長は森氏と共同で記者会見を開催。ガッチリ握手を交わしています。組織委員会会長というポジションはスポーツ界だけでなく、財界にも非常に近い。政・財・スポーツと、森氏の人脈は、ますます広がり、深まるばかりです」(前出・全国紙記者)

カジノなど、エンターテインメントの分野にもディープに食い込んでいるという森氏。口ではイヤと言いつつも、人たらしの面目躍如で、大行列は、さらに長蛇となるのだろうか。

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