タクシーに乗っているとドライバーが無線で謎の言葉を話していることがある。いろんな業界に身内だけの業界用語があるように、タクシー業界にも客にわからないよう使用されている隠語がたくさん存在する。今回は、その一部を読者のみなさまにご紹介したい。

1:取り締まり編
●「工事中(こうじちゅう)」=交通取り締まり中のこと。本物の道路工事は「本工事(ほんこうじ)」
●「水溜り(みずたまり)」=速度違反取締り
●「落下物に注意(らっかぶつにちゅうい)」=ネズミ捕りなどが実施されているときに注意を促す

2:緊急事態編
●「カバンの忘れ物(カバンのわすれもの)」=不審者を乗せた時に用いる合言葉、無線で危険を知らせるときに使う
●「キャブ不良(キャブふりょう)」=タクシー強盗やトラブルのこと
●「大事な忘れ物(だいじなわすれもの)」=事件に関した人物などを指す、「大きな〜」とも言う

3:乗客編
●「ゴミ掃除(ゴミそうじ)」=近距離客にしか巡り合わないこと
●「新婚さん(しんこんさん)」=ワンメーターしか乗らない短距離客のこと
●「荷崩れ(にくずれ)」=利用者が始めに言った目的地よりも手前で下車してしまうこと

4:ドライバー編
●「ケツわれ」=体調不良などによって、営業所に戻ってくること
●「ポンポコ」=『どこ行くの?』と聞かれたときの『食事だよ』という意味
●「予定(よてい)」=食事に入ることを示す言葉、食事が終わって仕事に戻る際には「予定終わり」などと報告する

5:売り上げ編
●「インカチ」=景気が悪いこと、お客さんが少ないこと
●「感度ありません(かんどありません)」=客がいないこと
●「ゲタ」=1ヵ月の最低水揚げ金額のこと、これに達しなかった時の事を「ゲタ割れ」と言い、基本給に影響がでる

6:ダジャレ編
●「ネギ」=客から入った苦情のこと、京都の“九条ネギ”にかけてできた
●「脳梗塞(のうこうそく)」=“NO高速”にかけてできた、高速に乗るような仕事がなかった日に使う
●「ワカメ」=回送のこと、“回送→海草”にかけてできた

7:違反行為
●「エントツ」=タクシーメーターを正しく操作しないで、料金をドライバーが着服する不正行為のこと
●「ゲンコツ」=遠方からの帰り道に、営業区域外の客を乗せて、メーター操作をごまかして売り上げを着服すること
●「焚き屋(たきや)」=夜の繁華街などでタクシー目当てで路上に出てくる客に対して目的地を聞いて、短距離だと断る行為

今度、タクシーに乗ることがあったら、ドライバーの無線の会話に聞き耳を立ててみてはいかがだろう。話し好きのドライバーだったら、謎の言葉の意味を、こっそり教えてくれるかもしれない。

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