「内閣改造や衆院選などがあり、そういう機会がなかった」
2月3日の衆院予算員会で、こう言い訳したのは安倍晋三首相。昨年秋の沖縄県知事選を制した"反自民"の翁長雄志(おながたけし)知事との面会を故意に拒否したとの疑惑を、社民党の福島瑞穂氏にツッコまれての答弁がこれだ。

実際、安倍さんと翁長さんの間では火花がバチバチだ。ベテラン記者が言う。
「安倍さんが推し進めたい米軍普天間基地の辺野古(へのこ)への移設に反対し、支持を集めたのが翁長知事です。沖縄県民の民意は"辺野古移設反対"。昨年末、自民党が大勝した衆院選でも、県内4小選挙区のすべてで反対候補が勝利したほど。翁長氏はこれを背景に、安倍首相と直接面会して、移設撤回を直言する機会をうかがっているんです」

で、昨年末に東京へやって来て、国会で挨拶を申し込むも、官邸は拒絶。『しんぶん赤旗』などは総理の横暴だと騒ぎ立てたが、「これは翁長さんが悪いだろ」というのが、永田町周辺の大方の見方だ。

「だって、約束もなしに上京したんですよ。それじゃ、予定が合うはずもない。パフォーマンスとしては巧みだけど、なんだかねえ」(議員秘書)

そんな簡単に利用されてたまるか、と安倍さんがムカッ腹を立てたのだろう。
「1月14日に閣議決定した国の予算案では、約3800億円と予定されていた今年度の沖縄振興予算が、約3340億円と1割カットの大幅減額になりました。石原伸晃元環境相の失言に"最後は金目でしょ"とあったように、アメとムチを使い分け、仲井眞弘多前知事を取り込んだのと同じ手口で、翁長氏を寝返らせるつもりでしょう」
と言うのは地方紙記者。

喉から手が出るほど金が欲しいのは、沖縄も他の自治体と同様だろう。
「一方で、先月、中断されていた辺野古の新基地建設作業の再開を強行し、抗議活動を続ける反対派の住民と、海上保安庁、県警のもみ合いが頻発。ケガ人も続出しています」(同じ記者)

一部報道によれば、1月15日、80代の女性が機動隊に押し退けられて頭部打撲。16日、カヌーに乗った男性が海保職員に取り押さえられ、あばら骨骨折と胸部打撲。20日、ビデオ撮影をした女性が手首負傷。21日、女性2人が転倒して救急搬送。23日、男性が手にケガまるで70年代の学生運動のようだが、この報告を受け、「なんたることか!」と新基地反対派は猛反発しているのだ。

「1月25日には、平和団体ら7000人が集まって、国会議事堂の周囲で手をつなぎ、"人間の鎖"を作っています。辺野古移設反対運動はいよいよ盛んになっていくでしょう。業を煮やした官邸からは、"翁長の醜聞を探せ"という指令が自民党沖縄県連に出たようですよ」(前出・ベテラン記者)

国益と民意、どちらも立つ妙案はないものか!?

本日の新着記事を読む