ニセ銀行
開設されていたニセ銀行のホームページ。正規運営しているものと遜色のないクオリティ。


中国のパクリ、ニセモノ文化は有名だが、まさかというニュースが話題を集めた。
中国南京市で大規模な詐欺事件が発覚した。銀行業務を営む資格をもたない「農村経済協同組合」と称するニセ銀行が、顧客たちからわずか1年の間に20億元(約38億円)を騙し取ったという。

中国メディアによると、このニセ銀行は南京市浦口に位置し、外観は正規銀行とそっくりだったという。高級そうに見えるカウンターに、LED電子掲示板、ATM、発券機など設備も万全。制服を着用した従業員がカウンター業務に当たっていたといい、公式サイトも開設し、完璧なまでのニセモノっぷりに顧客たちはその存在に疑いをもつハズもなく、被害の数は約200人にものぼったのだとか。

被害者の多くは、江蘇省や浙江省の民間企業の経営者。ある顧客は1200万元(約2億3000万円)をこのニセ銀行に預けたという。預入当初、この顧客は4週間連続で利子補給金を受け取ったが、以降は利子補給金の支払いが途絶え預金も引き出せなくなったという。その後警察に駆け込み事態が表面化。
関係者4人は詐欺罪で逮捕され、銀行も閉鎖されたという。

中国在住のジャーナリスト西谷格氏は、こうした中国のニセモノ文化をこう説明する。
「これまでにはエッフェル塔やシドニーのオペラハウスのニセモノもありました。マクドナルドやケンタッキーのニセモノも地方へ行くとよく見かけます。それらに比べるとこのニセ銀行はわりと精巧にパクッているとは思いますよ。中国人は人を騙すのは法的に悪いことだとは分かっていても、どこか『頭がいい』と心の中で賞賛するような風潮があります。とにかく遵法意識やモラルが低いので、『パクって楽して儲ける方が賢い』という風に思う人も多いようです。犯罪行為は捕まるリスクがあるからやらないだけで、捕まらないなら誰だってやるという風に考えているのでしょうね」

あまりにもスケールの大きな中国の事件。そのうちニセの国家すらも誕生しそうな勢いだ。

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