■オカダに通った主人公としての血

ルックスだけではなく、真の強さも兼ね備え、試合中に相手を鼻で笑うふてぶてしいキャラも確立し、真の負けを知らぬオカダだったが、今年1月4日に行われた東京ドーム大会で現王者・棚橋弘至にフォール負け。そのショックか、試合後に花道を去る途中で3万6000人の観客を前に、……なんと泣いてしまったのであった。

その、反逆児オカダを泣かせた当の棚橋は、この日の試合のことを後日こう語っている。

「僕はこれまで、オカダに足りないのは『主人公感』だと言ってきました。戦隊モノでいえば“赤”、RPGであれば“勇者”といったような、圧倒的な『主人公感』が彼にはなかったんです。どちらかといえばオカダは“ラスボス”ですよね。でも、それだとトップ選手にはなれてもエースにはなれないんですよ。ですが、あの日僕がドームで彼を泣かせて、泣いたオカダに向かって『IWGPは遠いぞ』なんて言った瞬間に、ラスボスと勇者の関係が逆転してしまった可能性があるんです」(神楽坂でのトークイベントより)

これまで絶対的強者の風格を漂わせていたオカダ・カズチカに“主人公としての血”が通ったのだと棚橋は語る。
東京ドームでの敗北以来、芯の抜けたようにスランプに陥ってしまったオカダ。2月に入り少しずつ復調はしたものの、いまのオカダは棚橋の語るように「レベル1の勇者」のようなものである。だが、このまま終わるレインメーカーとは思えない。目指すは、“ラスボス”棚橋の待つ頂点のみだ。

プロレスに興味はもったものの、誰を応援していいのか分からない。そんな新しいファンにとっては今のオカダカズチカは感情移入させるにもってこいの存在といえるだろう。近い将来、再びオカダが頂点に上りつめるであろう姿を是非その目に焼き付けたい。そのときにリングで彼がなんと感想を述べるか、それが今から楽しみである。

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