「統一地方選惨敗」もあるか!?
阿部首相が「危険なかけ」に出た理由


これまで、自民党の強固な支持基盤であった農協。それが一転、不倶戴天の敵になったことで、4月の統一地方選に黄信号が灯った。改革を強行する安倍自民に"勝算"はあるのか!?

「国(地元)に、どう説明したらいいんだ……」
JA全中の"ドン"万歳(ばんざい)章(あきら)会長と自民党幹部が会談し、全中サイドが農協改革を受け入れた8日夜、農林族議員の一人は、こう吐き捨てた。

「安倍政権の号令の下、自民党が農協改革を検討し始めて以降、農協と党の関係は冷え込んでいます。農協票を生命線とする農林族議員にとっては、今回の改革は死活問題なんですよ」(全国紙政治部デスク)

自民党内の改革反対派は、1月27日に国会内で会合を開いている。
「参加したのは全中出身の山田俊男参院議員を中心に30人以上の議員。全中幹部らも顔を出しています。席上、全中側は監査権限が地域農協の自由度を奪っているとの政府の主張を声高に否定しています。さらに、"改革が、なぜ農家の所得向上につながるのか"との批判も出ました」(前同)

これまでの選挙では、地方の農家の多くが、「何があっても自民党」で投票してきたとされる。この大票田を失うリスクを冒してまで、なぜ、安倍首相は改革を急ぐのだろうか。
自民党関係者が言う。
「選挙時のダメージは、昨年末の衆院選でも確認できますし、滋賀、佐賀の県知事選で、うちの推薦候補が敗れた原因でもあります。党内では農協改革は統一地方選後に先延ばしすべきとの声もありましたが、安倍首相の鶴のひと声で押し切られてしまったんです」

その理由は、
「寄る辺を失った全中の一部が民主党政権にすり寄る動きを見せたことに加え、先の衆院選で稲田朋美政調会長らを攻撃したことに、首相が激怒したんです。稲田さんは、首相が近い関係者に"後継者"と明かすほどのお気に入りですからね。首相の側近に農林族がいないことも大きい」

もうひとつ、安倍首相を改革に走らせる理由があるという。
「首相は師である小泉純一郎元首相の郵政民営化を体験しています。党内が真っ二つに割れたにもかかわらず、小泉さんは民営化を強行した。このときの小泉さんに自身を重ねているんですよ」(前出・デスク)

ただし、改革が進むなら選挙で苦戦してもよい……というわけではないらしく、
「改革案は全中の言い分も加味した妥協の産物です。したがって選挙へは、それほど影響しないでしょう。全中側も、本当に重要なのはTPP問題ですから、首相に徹底抗戦して反目することは得策ではないと判断しているはずです」(政治評論家・浅川博忠氏)

安倍首相にしてみれば、"勝算は十分あり"といったところのようだ。

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