海南島の原発を狙い自爆テロ

「一方、中国政府は、ウイグル人たちが中東でテロのノウハウを学んで帰国し、"ホーム・グロウン(自国育ち)"のテロリストと化すのを危惧しています。フランスの週刊紙『シャルリーエブド』本社襲撃事件でもわかるように、自国民によるテロは、事前に察知して防ぐのが難しいんです」(国際ジャーナリスト)

複雑な問題をはらむ同自治区。だが、なぜそこまで中国は制圧せんと意気込むのか。前出の小関氏が言う。
「ウイグルの独立を認めたら、他の少数民族に波及し、国家として統制が取れなくなってしまう。そして何より、ウイグルをはじめ中央アジア一帯に広がる豊富な天然資源を"戦略物資"として常に手元に置いておきたい。そのために、ウイグルを力ずくで押さえているのが現状です」

一時のバブル経済は弾け飛び、経済再生が最重要課題となっている中国。
「習近平は、これをクリアしなければ、2018年の全人代で国家主席の続投を承認されないでしょう。だからこそ、この天然資源を押さえることに躍起になっているんです。資源はイコール、金、権力ですから」(前同)

対立する中国とウイグル自治区、そして、それを利用せんとするイスラム国。
各勢力の思惑が、新たなテロの呼び水となりうるのだ。
「ウイグル解放という旗印の下、"聖戦"を掲げたイスラム国のテロ要員が、中国の中心部に突撃する。言うなれば、あの米同時テロ(2001年9月11日)の再現もありえます」(ジャーナリスト)

事実、昨年6月に"テロ未遂"が発生している。台湾情報担当局が中国当局に「旅客機がハイジャックされ、北京で自爆テロを行う可能性がある」と緊急通報。
「幸いにも有事には至りませんでしたが、世界有数の原発集中地帯である海南島沿海部に突入する危険性もありました。"原発を狙う"とするテロ情報は、多く流布しています」(防衛省関連スタッフ)

悪知恵は、これにとどまらない。軍事評論家の神浦元彰氏が言う。
「その中国当局が今、最も恐れているのが"核テロ"です」
それは、小型スーツケースに核物質を入れ、同封した少量の火薬で爆発させる"ダーティ・ボム"テロだという。

「ダーティ・ボムに使う放射性物質は、病院にある医療用でも大学研究室にある実験用でもいい。自爆テロを天国への道と盲信し、死ぬ覚悟を決めているテロリストにとって、入手自体はそう困難ではないと想像できます」(前同)

世界に平和は、いつ訪れるのか――。

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