「青天の霹靂(へきれき)」とは予想外の出来事が突然起こるという意味だが、まさにそんな風に感じた人も多かったのかもしれない。青森県産のコメの新品種の名称が「青天の霹靂」に決まったのだ。

青森県によると「米は『つや姫』『あきたこまち』など女性的な柔らかい名称が多いので、あえて男性的にこだわった。インパクトではどこにも負けていない」というのが選考理由。ただし、米農家からは「霹靂という漢字が書けない」といった苦情もある一方で、「どんな味か気になるので試してみたい」という声もあるという。

ひと昔前はブランド米といえば「コシヒカリ」と「ササニシキ」が双璧だった。「あきたこまち」「ひとめぼれ」が登場したあたりから、いろいろな品種名を聞くようになった気がするが、最近はどんどん新しい品種とネーミングが生み出されている。

「青天の霹靂」に負けない、インパクトある米の品種名をいくつか紹介してみよう。


●ゴロピカリ(群馬)
群馬では雷が多いことから、そのイメージで名づけられたという品種。どんな味がするのか、ちょっと想像できない。口の中で暴れそう?


●森のくまさん(熊本)
熊本市は近隣に森林が多く「森の都」の愛称がある。ここから「森」、熊本から「くま」を取り、産地の「さん」を合体させて「森のくまさん」だという。極めてダジャレチック。


●天使の詩(佐賀)
炊いた時に白くツヤがあるのが特長の品種。そこから「天使からの贈り物」というイメージで名づけられたという。「歌」ではなく「詩」という字を選ぶあたりがポエジー。


●イクヒカリ(福井)
食育の「イク」を取り、そして「幾(イク)久しく光り(ヒカリ)輝くことを願って」の意味だそう。……多くは語りません。


●まっしぐら(青森)
味と品質の追及に「まっしぐら」、生真面目に取り組んでいくという意味から。キャットフードでも同じようなフレーズを使っていたような……。


●にこまる(長崎)
「美味しくて笑顔がこぼれる」というイメージに、米粒の張りの良さを表現したという。子供も喜んで食べてくれそう。


全体的に品種名を見たところ、九州地方に攻めているネーミングが多いように感じた。コメの産地・東北への対抗心だろうか。

品種名の決め方には「極端に長いものはダメ」「キラキラ、ワンワンなどの擬音語、擬態語はダメ」などのルールが設けられていて、「漢字の読みが特殊なものはダメ」という決まりもある。つまり、いま流行りのキラキラネームは付けることはできないのだ。

これからどんな名前の品種が誕生するのか、お米のネーミングから目が離せない。

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