「ベテラン」と言われる35歳の選手でも彼らからすれば青二才。若造には真似できない職人技を見せてくれ!

「最後の一球は、カープのユニフォームを着て投げたいと思った」
ヤンキースから8年ぶりに古巣・広島に戻ってきた黒田博樹(40)の、このひと言にシビれた!というプロ野球ファンは多いだろう。
昨年、ヤンキースをFAになった黒田は、ヤ軍を含む複数のメジャー球団から推定約21億円と言われる巨額の契約オファーがあったにもかかわらず、日本球界復帰を決断。広島と推定年俸4億円プラス出来高で契約した。

「07年オフにFAでドジャースに入団したときも"日本に帰るとしたら広島しかない"と明言していた黒田ですが、目の前の21億円を蹴って年俸が5分の1の広島に戻る決断をすることは、誰もができることじゃありませんからね。そこまでして"カープ愛"を貫いた黒田の選択に、メジャーリーグ関係者や米メディアも驚きを隠せなかったようです」(スポーツ紙デスク)
世の中、金がすべてではないことを、身をもって証明してみせた黒田の決断が、ちょっとした"男気ブーム"を巻き起こしているのも、むべなるかな。

広島の沖縄キャンプに合流した黒田は2月18日、ブルペンで初投球。直球、ツーシーム、カーブ、カットボール、スプリットなど、スライダー以外の5つの球種を計37球、感触を確かめるように投げ込んだが、
「本人は"あまり考えずに投げた"そうですが、まずまずの手応えを感じたようで、表情も満足そうでしたね」(広島番記者)

メジャー7年間で79勝、5年連続2ケタ勝利と抜群の安定感を誇った黒田は、日米通算200勝まで、あと18勝。今シーズン中の達成は厳しいかもしれないが、黒田が今季の目標として掲げる「2ケタ勝利」を挙げれば、夢の実現もそれだけ近づくことになる。
「黒田が見せた男気、カッコよすぎですよ。いまどき、まだこんな男がいたのかという新鮮な驚き。広島の選手も、意気に感じてプレーしなきゃいけません」
と前置きして、野球評論家の金村義明氏が言う。

「黒田はコントロールの良い投手ですが、メジャーの広めのストライクゾーンに慣れたせいで、日本の狭いストライクゾーンに戸惑うかもしれません。また、メジャーの打者は膝元から落ちるボールに簡単に手を出してくれますが、日本の打者はしっかり見送ってくる。そのへんを、どうアジャストするかが課題でしょうね」
とし、こう続ける。
「でもまぁ、黒田はたとえ2ケタ勝てなくても、存在自体が広島にとって大きいですよ。前田健太も黒田に比べればヒヨッコ同然。若手投手にとって、これ以上のお手本はありません」

黒田に限らず、選手寿命が伸びたせいで、今のプロ野球界はオヤジ選手の宝庫。現役最年長の中日・山本昌(49)は、その代表格だ。
なにしろ山本昌は41歳でノーヒットノーラン、43歳で通算200勝を達成した遅咲きの名投手。
「体が頑丈で大きなケガをしなかったことが、ここまでやれた要因でしょう。40歳になってからは"キャンプは二軍スタート"を直訴し、首脳陣も山本昌に限ってはスロー調整を容認。落合元監督も"マサは投手がバテバテになる8月に出てきてくれればいい"という考え方でした」(スポーツ紙中日担当記者)
最年長勝利投手ほか、8つのプロ野球最年長記録を持っている山本昌。8月で満50歳になる今シーズンも、記録を更新することは間違いなさそうだ。

中日は山本昌以外にも、オヤジ選手が多い。通算最多セーブ402を誇る守護神・岩瀬仁紀(42)も、その一人。
「全盛期のスライダーのキレが抜群で"消える魔球"という形容がピッタリでした。ただ昨年は力の衰えを感じさせたのも事実で、8月には左ひじの張りで登録を抹消。そのままシーズンを終えています」(前同)
沖縄キャンプ中の2月17日にも、左ひじの違和感を感じた岩瀬はブルペンの投球を16球で中止。開幕に向け不安を感じさせるが、彼抜きで中日のV奪還がありえないことは確かだ。

6月で43歳になる和田一浩は通算2000本安打まで、あと15本。早ければ4月中にも達成できそうだ。
「和田は西武時代の05年には首位打者を獲得。プロ18年間で314本塁打、打率・303は立派な数字。ここぞというときの勝負強い打撃も光ります」(同)
メジャーから中日に戻って4年目の川上憲伸(39)、巨人から移籍して2年目の小笠原道大(41)も、もうひと花咲かせてほしい。
中日は監督兼捕手の谷繁元信(44)が、野村克也の持つ通算最多出場試合数3017を更新するまで、あと26試合に迫っているが、
「昨年オフの中日OB会では会長の木俣達彦氏が"そろそろ監督に専念を"と要望。ノムさんの記録を抜いた時点で、谷繁が監督だけに集中する可能性は高そうです」(スポーツ紙デスク)

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