外務省が2月25日付けの公式サイトで、「国際情報統括官組織」の非常勤・期間業務職員として、南西アジア(アフガニスタンからトルコ、エジプトに至る地域)情勢の「専門分析員」を一般募集していることをご存知だろうか?

「国際情報統括官組織」とは、外交の情報を収集、分析する組織で、インテリジェンスの重要性が高まったため、2004年から“局”から“官”へ格上げされた組織だ。そして情報活動を強化するため、2006年以降の5年間で在外公館に配置する「情報官」が100人増員されている。今回の募集はおそらく緊張の高まる中東情勢に対応するためのものだろう。

類似している外国の機関としては、外交政策と国家安全保障をサポートする目的で“諜報活動”を行う、アメリカ国務省の「情報調査局(INR)」がある。
この“諜報活動”というのが気に入らなかったのか、中国が「情報統括官組織」を“スパイ組織”だと言いはり、2006年には在北京の日本大使館書記官と日本の新聞記者3人が、高級人民法院(日本の高等裁判所)でスパイと断じられたこともある。

ちなみに「専門分析員」は一般から募集しているとはいえ、求められている資格のハードルはおそろしく高い。

(1)南西アジア情勢についての専門的知識・経験
(2)国内外の大学研究機関へのアクセスがあり、外国語による調査業務が可能(英語の読解力は必須。加えて、その他の言語力もあればなお望ましい)で、大学院レベル以上
(3)週3日、東京都内(千代田区霞ヶ関)に通勤可能な地域に在住
(4)日本国籍を有し、かつ外国籍を有しない

これだけの能力を必要としてるのに、採用期間は最長で2年。非常勤の国家公務員だから、健康保険と厚生年金保険には加入できない。まるで派遣社員のような扱いで、外国からスパイだと断じられるかもしれないが、国に協力しようという意識の高い人は是非、応募して欲しい。

実は1年前にも、ウクライナ危機に合わせ、欧州情勢に通じた「専門分析員」が募集されていて、世界中で絶えず勃発している国際問題に対応しようとしているようだ。過激派組織「ISIS」など、難解な課題は山積みで、情報統括の役割りはますます重要になってきている。

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