昨日の敵は今日の友。戦いの日々を送ったライバルが、窮地の大横綱になんとも怪しいエールを送る……!

「もう、オレはいらないだろう」
2月23日、大相撲春場所の新番付が発表され、報道陣の前に姿を見せた横綱・白鵬(宮城野部屋=29)は開口一番、こうつぶやいた。
「会見では終始伏し目がちで、心ここにあらずという感じ。記者から"横綱!"と声をかけられ、"聞いてるよ"とやり返す場面もあった」(スポーツ紙記者)
注目された審判部批判発言については「それぞれ自分たちの考えや思いもある」とし、「まあ、自分の考えだけ伝えましたけど」と答えただけ。この日も頑なに謝罪はしなかった。

「もともと横綱はマスコミ嫌いだったんだけどね。今回の問題で拍車がかかってしまった……」
その言葉どおり、2月8日の大相撲トーナメント後には、記者から審判部批判問題を問われると、「何っ!」と大声を出して取材陣を睨みつけている。
史上最多優勝という大記録を達成し、3月には、尊敬する大鵬(元横綱=故人)が引退した年齢と同じ30歳の大台に乗る白鵬。
本誌既報どおり、親しい知人が春場所後の引退の可能性に言及していたが、こうなると事態はより深刻だ。

「引退後に親方として角界に残るか否かが問題。モンゴル人の白鵬が親方になるには日本国籍を取得する必要がある。しかし、ここにきて日本に帰化する気持ちが揺らぎだしたといいます」(宮城野部屋関係者)
もともと、白鵬が帰化しない理由には、父ムンフバト氏の大反対がある。メキシコ五輪の銀メダリストにしてモンゴルの英雄であるだけに、息子を日本人にするわけにはいかないのだ。

さらに、「白鵬の気持ちが揺らぎだした理由はもう一つある」(前同)という。
元横綱・朝青龍(ドルゴルスレン・ダグワドルジ氏=34)からのラブコールだ。
審判部批判問題でバッシングされる後輩・白鵬を見て、"かつての俺と同じ!"とでも思ったのか、朝青龍は〈白鵬もう(モンゴルに)帰って来てほしい!〉〈失礼なインタビューするな!!〉などと、ツイッターでたびたびエールを送っている。
「朝青龍が現役の横綱だった頃は、ヒール役の朝青龍対優等生キャラの白鵬というふうに世間からは見られていましたが、実はこの2人、もともと仲はいいんです」(スポーツライター)

白鵬にとって、朝青龍は母国モンゴルの大先輩。
「まだ白鵬が横綱に昇進する前、朝青龍はモンゴル力士を引き連れて、よく飲みに来ていました。当時、朝青龍はVIPルームで飲んでいましたが、白鵬は一般席。それでも文句ひとついわず、朝青龍を敬っているように見えました」(大阪北新地のクラブホステス)
こうして同郷の絆を育んでいった2人。

「白鵬がモンゴルの国民栄誉賞にあたる『労働英雄賞』を受賞し、母国へ帰国した際も、朝青龍が式典に駆けつけました。朝青龍も過去に同賞を受賞しており、ツイッターでは"労働英雄賞2人!"というコメントとともに、首都ウランバートルの政府庁舎前で、民族衣装に身を包んだツーショットを掲載しています」(前出のスポーツライター)

その朝青龍、現在はモンゴル有数の実業家に転身。
「現役時代から、モンゴルの企業を兄弟名義で密かに買収し、『ASAグループ』を形成していた朝青龍でしたが、今後の目標は海外展開。北海道の『きたわせ』という品種の蕎麦を、母国モンゴルで栽培し、来年から"朝青龍蕎麦"として日本で販売するそうです」(モンゴル事情通)
事業は順調で、次の目標は大統領と豪語しているほどだという。

「モンゴルに一時帰国した白鵬に、"日本でバッシングされるくらいなら、自分のように母国で活躍したほうが良い"なんて、相撲界逃亡をそそのかしていてもおかしくありません」(前同)
実際に、白鵬は先輩を手本としている節もある。
「北海道で"白鵬米"をプロデュースしているんです。田植えにまで参加し、猛アピールしていますが、彼には別の目的があります。本当の狙いは、モンゴルの大地で白鵬米を育て、稲作技術を普及させることだといいます」(スポーツライター)

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