がん、脳卒中、心臓病という生活習慣病を引き起こすメタボリックシンドロームに続き、いまそれ以上に深刻な問題が話題となっているのが「ロコモティブシンドローム」だ。運動機能に影響を与えるロコモがなぜいま注目されているのか? それを解消するためにはどうすればいいのか? 10年、20年後に後悔しないための対策を紹介しよう。

運動機能の衰えにより、要介護、要支援の年齢を10年以上も早めてしまう可能性がある「ロコモティブシンドローム」ロコモ状態になると、まず姿勢が崩れてくるのだが、その代表的なものが“猫背“だ。

実は今、この猫背が若者の間で増えており、問題になっている。その原因はITの発達と普及だ。パソコンを操作する時、私達は画面やキーボードを見るため、目線を下げ、頭を前に下げてしまう。このことにより、背中が丸まってしまうのだ。
そしてパソコンよりも厄介なのがスマホだ。パソコンの場合は目線が30〜45度下げるだけだが、スマホやタブレットの場合、目線がほぼ真下になる。立ってスマホをいじると目線を下げるため頭が大きく前に傾くが、この時、人間は反射的に背中が丸まるようになっているのだ。

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この状態になると無意識にバランスを取るため骨盤は後ろに傾き、膝を軽く曲げて前に出す状態になる。見てわかると思うが、これは高齢者の姿勢とそっくりなのだ。若くても猫背であれば歩幅が狭くなってつま先が上がらず、わずかな段差でもけつまづくようになってしまう。そして猫背が長く続くと、他の運動機能にも支障が出るようになり、若くして要介護の状態になってしまう可能性が高くなるのだ。

しかし悪い姿勢というのは、若いうちならばまだまだ修正することができる。1月に発売された新書「要介護がイヤなら今すぐ猫背を直せ」(著者=坂詰真二・双葉社)に、猫背修正の方法が掲載されているので、抜粋して紹介しよう。

オフィスで出来る簡単猫背修正法
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まず椅子を高くして座面の前の方に座り、膝の位置を座面より低くすると、自然に背筋が伸びる。ちなみに悪い姿勢は下のイラスト。低い椅子で背もたれに寄りかかると、膝が座面より高くなってしまい背中が丸まってしまう。

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また首のストレッチも有効だ。足を肩幅に開いて真っ直ぐ立ち、両手を合わせて親指を顎の下に置き、脇を締める。そのあと親指でアゴを押しながら顔を上に向け、楽に呼吸しながら10〜20秒静止する。これを1~3セット行えば筋肉が柔軟になり、猫背を修正することができる。どちらもオフィスで簡単にできるので、ぜひ試していただきたい。

より詳しいことは「要介護がイヤなら今すぐ猫背を直せ」を参考にしていただきたい。引き起こされる事態は深刻だが、ロコモは簡単な運動で解消することができる。将来のため、今から対策に取り組むべきであろう。










「要介護がイヤなら今すぐ猫背を直せ」(双葉社)は全国書店で絶賛発売中

著者:坂詰真二
●スポーツ&サイエンス代表。アスリートの指導やスポーツ・医療系専門学校の講師を務めながら、雑誌「Tarzan」を始め、さまざまなメディアで運動指導、監修、出演をしている

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