柔道 金×3

国際舞台で苦戦を強いられている柔道。ロンドン五輪では、男子は史上初の金メダルゼロ、女子も1個だけ。なぜ、こんなことになってしまったのか。
「柔道が日本の"お家芸"ではなくなったからだと思います。柔道が五輪種目になった1964年当時、国際柔道連盟に加盟していた国は20カ国ほど。それが、いまは200カ国に増え、国際化しました。その一方で日本の競技人口は減り続け、20万人程度。フランスの3分の1です。いまや柔道の中心は日本ではなく、ヨーロッパなんですよ」(前出・スポーツ紙記者)

現在の国際柔道連盟に日本人理事は一人もいない。ルール変更などにも、日本は一切、口出しできない状態だ。
「戦い方も変わりました。相手と組み合い、投げて一本を取る日本柔道は廃れ、ポイントを取って逃げ切るヨーロッパスタイルのJUDOが主流になりました。日本はそうした変化に対応できなかった。日本柔道のガラパゴス化とも言えます」(前同)

なんとも気の滅入る話だが、希望はある。旧弊に捉われず、新しい日本柔道を作ろうとする若い力が急速に台頭してきているのだ。

その筆頭が66㎏級の阿部一二三(ひふみ)(17)。まだ高校2年の"坊や"だが、強さは本物。昨年のグランドスラム東京では、世界選手権3連覇中の海老沼匡や外国人の強豪選手を次々に撃破して優勝。「リオでも優勝を狙う」と宣言した。

女子では、48㎏級の近藤亜美(19)。一昨年の同大会で世界選手権覇者やロンドン五輪金メダリストを相手に、オール一本勝ちで優勝。昨年も圧倒的な強さで連覇を果たしている。
そしてベテラン、女子57㎏級の松本薫(27)もいる。ロンドン五輪で柔道で唯一の金メダルを日本にもたらし、「野獣」のニックネームがつけられた選手だ。
日本柔道の未来も決して暗くはないのだ。

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