「維新は日本を変えるパワー」

「慌てたのが、自民党幹部の面々。安倍氏が離党すれば、呼応して50人近くの自民党議員の離党は必至。当時、野党だった自民党は党壊滅の危機と恐れたんです」(前出の浅川氏)

急遽、自民党幹部たちが鳩首協議。安倍氏を9月の総裁選候補へと押し上げ、離党阻止に動いた。総裁となれば、離党はしないとジャッジしたのだ。
「その後、"瓢箪(ひょうたん)から駒"で安倍氏は総裁となりました。同年暮れ、総選挙で自民党は大勝し、現在の1強多弱の安倍体制へとつながっていきます」(同)

橋下氏の「新党合流要請」が、結果的に"強すぎた"安倍政権誕生の大きな布石となったのだ。
「安倍首相も、その恩は重々承知し、橋下氏を高く評価しています。首相就任の十数日後には、自ら大阪に出向き、橋下、松井両氏に会って、感謝の意を伝えているほどですから」(前出の在阪記者)

その1か月半後の13年2月、初訪米直後、安倍首相自ら電話を取って、オバマ大統領との会談内容を橋下氏に伝えるという異例の対応まで見せている。
かねてから総理は、
「(橋下)維新は日本を変えるパワーを持っている」
「教育問題でも憲法改正でも、彼らの力を生かしていく道を考えていきたい」
と言い、さらには、
「橋下氏は同志」
とまで公言。
寵愛を実感した橋下氏は、その余勢を駆るのも至極、当然だろう。

政界を"大爆走"し、今、ようやく悲願の大阪都構想実現に向け、本格的に動き出した。
維新の党の関係者が言う。
「大阪都構想の第一歩である住民投票は、5月17日。ここにきて、それまで都構想に反対だった大阪公明党が、(橋下氏の意向を受けた)安倍=菅官邸ラインの強力なプッシュで翻意し、住民投票で都構想が信任される可能性は限りなく高まっています」

住民投票で信任の結果となれば、2年後の17年4月、大阪府は正式に大阪都になる。橋下氏の宿願が、大きく羽ばたくのだ。

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