恐るべき安倍首相の手練手管

在阪の記者が言う。
「大阪都構想が実現すれば、必然的に大阪市長職は廃止になります。これまで、橋下氏の国政進出を阻んでいた、地元住民の"大阪を見捨てるのか"という声は完全になくなるわけです。以後、橋下氏は、新たに大阪都知事選に出馬して初代都知事の座を狙うもよし、国政を目指して突っ走るもよし。フリーハンドを手に入れるんです」

加えて、大阪都構想が成った暁には、安倍首相が目論む
「16年秋、遅くとも17年春には改憲を実現させたい」(船田元自民党憲法改正推進本部長=2月14日)
に沿い、橋下氏はサポートに回るというのだ。

「首相は、17年4月の消費再増税前には、憲法改正を成し遂げたいとのスケジュールを描いています。消費増税以降では、安倍内閣支持率低下は明白。その前に勝負に出る腹づもりです」(前出の鈴木氏)

何はともあれ、安倍自民党と橋下維新が電撃合体。"新保保連合政権"樹立へ進む絵図だというが、事はそう簡単ではない。

ジャーナリストの宇田川敬介氏が言う。
「大阪都構想が実現しても、黒字になる部門は人件費と公共施設の維持費ぐらい。電車、バスなどの交通関連のコストカットを含めて住民サービスの質が格段に落ちることは数々の検証結果、自明の理となっています。安倍首相は、橋下氏を援助するとしながら、近い将来の橋下氏の失敗を予見。将来、ライバルになるかもしれない"芽"を、さっさと摘んでおきたいと考えているのかもしれません」

日々、国会で浴びせられる罵倒の中、安倍首相はどこまでクレバーでいられるのか。真価が問われている。

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