武藤 猪木さんのすげえところは、リングを降りてからも、政治活動でも何でも、ずっと〝プロレス〟をやってるところだよな。やっぱり、普通の人ができないことをやってるよ。レスラーの基本って、そこじゃん。お客は普通じゃない、異次元の世界を観にプロレス会場に来てるわけだから。とくに昔はそうだったと思う。今はレスラーがちっちゃいし、普通の人にしか見えないじゃん。その点、猪木さんは全然普通の人じゃないもんな。だから、引退してもう15年以上経ってるのに、今だにアントニオ猪木を演じきってるというかさ。プロレスラーのままでいる気がしますよね。

──ガウンとタイツを穿いてないだけで、いまも〝現役プロレスラー〟のまま、というか。

武藤 そうそう。常に何かに向かって走り続けてるし。泳ぎ続けないと死んじゃうマグロみたいにさ、常に何かに挑戦し続けてるよね。だいたい普通の人だったら、アントニオ猪木を演じるだけで、苦しくて死んじまうよ(笑)。あの人だからできるんだよ。何十億も借金抱えたこともあるし、暴漢に斬られたこともあるし。だから、ああいう人がやるプロレスっていうのは、たまらなく面白いんだよね。それがさっき言った、運動能力を超越したプロレス。技術論だけじゃなく、あの人が背負ってるものすべてがリングに反映されてるし、人生自体がプロレスの作品みてえなもんだからな。


※インタビュー一部分のみ引用、全編は「俺たちのプロレスVOL.3」本誌でお楽しみください。

●聞き手=堀江ガンツ


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