いったい何度目か――。
東日本大震災の発生、そして、福島第一原子力発電所事故の発生から丸4年。1500日近い時間が流れながら、東京電力の"隠蔽体質"が変っていないことが、またまた明らかになった。
「東電は2月24日、福島第一原発2号機原子炉建屋の屋上に溜まった雨水から、高濃度の放射性物資が検出され、その雨水が敷地内排水路を伝い、太平洋に流出していたことが判明したと公表しました。東電はこの"垂れ流し"を昨年4月には把握しながら、何も対策を取らず、公表してこなかったんです」(全国紙記者)

その数値は、1リットル当たり放射性セシウムが2万9400ベクレルという高濃度のもの。
「住民心情への想像力不足は明らか。死活問題に直結する全国漁業協同組合連合会は、"これは全国の漁業者・国民に対する裏切り行為"という内容の抗議文を、廣瀬直己社長宛に送りました」(同記者)

なぜ、そんな"隠蔽"が起こったのか。本誌が、東電の広報に電話取材をしたところ、応対した担当者は物腰柔らかく、丁寧過ぎる口調で、こう語った。
「原子力規制委員会から指示を受けたので、昨年4月以降、排水路の汚水測定を始め、清掃もしてきましたが、今年に入り、排水路の濃度が高いのは2号機屋上の汚水が原因であることがわかったので、速やかに公表しました」

要するに東電は、排水路の測定値データを今まで公表しなかった点は認めたが、汚染源が2号機屋上とわかった時点で速やかに公表していることを強調し、今回"隠蔽"の意図はなかったとしている。だが、誰が信用できよう。
「今回の唐突とも思える公表は、ひょっとしたら何か"別の重大な事実"から目をそむけさせるためなのでは――そんな邪推をしたくなるほど、東電の"隠蔽体質"は枚挙にいとまがありません」(夕刊紙記者)

その筆頭は、事故発生直後のメルトダウンを認めなかったことだが、たとえば2013年3月には、停電で使用済み燃料を冷却できなくなった事実を即座に公表しなかった。
また、同年7月、規制委員会が敷地内井戸の高濃度汚水の海洋流出を指摘するまで、その事実を認めなかった過去もある。

原発事故後、全国で放射線量の測定を続けているジャーナリストの有賀訓氏もこう見る。
「多くの汚染水は敷地内の排水路を伝わり、海に流れ出すことは容易に想定されます。原子力規制委員会から指示を受けるまで、排水路が管理対象になっていなかったこと自体がおかしい。今回発覚した件は、汚染源の氷山の一角に過ぎないでしょう。東電は、どんな基準で測定しているのか怪しい限りです」

いまだに隠蔽体質の抜けない東電。次は、いったい何を隠すのか――。

本日の新着記事を読む