籾井勝人NHK会長(72)の進退に黄色信号が灯った。
2月20日、衆院予算委員会に呼び出された籾井会長は、5日の定例会見で慰安婦問題に関して「政府のスタンスが見えないので、放送は慎重に考える」と発言したことを、民主党から厳しく追及され、辞任要求にまで発展しているのだ。

「籾井会長は、就任会見で"政府が右ということを左というわけにはいかない"と公言するなど、NHKの会長としての資質が疑われるような問題発言を連発していました。これに対して、民主党だけでなく、とうとう身内であるNHK退職者有志からも退任を要求する声が上がったんです」(全国紙記者)

だが、籾井会長といえば、黒田東彦日銀総裁と並んで官邸人事と呼ばれ、安倍晋三首相の"お友達"。強力な後ろ盾を持つ人物だ。
「籾井会長は三井物産の副社長まで務めた人物で、新自由主義、保守的価値観の持ち主。安倍官邸にとっては都合の良い人物でした。官邸にしてみれば、これまでのNHKは"左"に偏向しており、籾井会長の起用は、こうした"歪み"を是正しようとするためだったんです」(同記者)

思えば、安倍首相にとってNHKは天敵ともいえる存在だった。
「第1次安倍政権時代、従軍慰安婦報道を巡り、安倍首相がNHKに物言いをつけ、番組の放送内容を改変。公正中立を標榜するNHKへの介入に批判が殺到し、07年の参院選での惨敗の一因となりました」(同)
そんなNHKを支配下に置くべく安倍官邸が送り込んだのが、籾井会長だったのだが……。

自民党関係者は声を潜めて、こう話す。
「安倍官邸も、籾井会長の言動があそこまで騒動になることは予想していませんでした。株価を上げきった今、本丸である改憲に着手する際、"お友達"である籾井会長が目立ちすぎると困るんでしょうね。官邸も厄介払いしたいのが本音でしょう」

こうした安倍官邸の心変わりを察知したのが、NHKの"反籾井派"。NHK関係者が、こう明かす。
「NHKの役員連中が、官邸に直談判し、ポスト籾井会長をNHK出身のプロパー人事で行くと伝えたそうなんです。官邸側もその要求を了承したようで、もしまた"問題発言"でもすれば、籾井会長のクビは簡単に飛ぶ状況です」

一刻も早く"みなさまのNHK"になることが求められている。

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