大盛況の大阪場所もいよいよ大詰め。最強横綱を倒すのは誰!? 大相撲を100倍楽しめる期待の新星を紹介。

大相撲春場所の初日、場内に動揺が走った。小結・妙義龍(境川部屋)相手に横綱の白鵬(宮城野部屋)が一瞬バランスを崩したのだ。
白鵬はすぐさま体勢を立て直し、かろうじて白星発進となったものの、「平常心を欠いている」(中堅親方)と言われる有り様。支度部屋では報道陣に背を向けてダンマリを決め込んだ。
「今や、白鵬はかつての朝青龍(元横綱)と同じくヒールになってしまいました」(日本相撲協会関係者)

その証拠に初日の懸賞旗の数も先場所に比べて半減。
「白鵬が負けるところを期待して見に来た」(50代男性)という声まで出ており、ファンの間では白鵬に引導を渡すのは誰かが、すでに話題になっている。
「1991年夏場所初日、横綱の千代の富士(現九重親方)は、当時まだ新鋭の貴花田(後の横綱・貴乃花)のまわしが取れずに惨敗し、引退に追い込まれた。現在5連覇中の白鵬だが、去年も春場所だけ勝てず、横綱昇進を懸けた鶴竜(井筒部屋)に優勝をさらわれているから、"まさか"があるかもね」(スポーツ紙のベテラン相撲記者)

その春場所もいよいよ大詰め。白鵬と上位陣との対戦が続くだけに、目が離せない。
では、千代の富士に引導を渡し、その後、一時代を築いた貴乃花のように、"ポスト白鵬"を担う有望力士を紹介しよう――。

まずは"将来の日本人横綱候補"として期待が高まる遠藤(追手風部屋=前頭5)、"モンゴルの怪物"こと逸ノ城(湊部屋=前頭筆頭)の両力士。
「遠藤は、柔軟な下半身と四つ相撲を得意とし、相撲の王道をゆくタイプ。逸ノ城は、規格外の巨体を生かし、今場所3日目、横綱の日馬富士(伊勢ヶ濱部屋)を土俵下に押し倒したパワーが売りです」(同記者)
その逸ノ城は4日目に白鵬と対戦し、寄り切りで敗れた。

だが、両力士以外にも、逸材は揃う。
「今場所、白鵬を脅かすとしたらこの人」と相撲関係者が口を揃えるのは、大関の稀勢の里(田子ノ浦部屋)。
場所前の出稽古で白鵬が「おまえとはやらない」と、"稽古拒否"した相手だ。
稀勢の里は今場所、連敗スタートとなったものの、「現役力士の中で白鵬が最も嫌がる相手」(宮城野部屋関係者)なのだ。
「稀勢の里とはケンカ四つ。白鵬は嫌な相手だとわかっているから、わざと呼吸を外し、相手の立ち合いの威力を削ぐ戦術に出ています。稀勢の里が立ち合いを制し、左を差して右上手を取る十分な体勢になったら、白鵬とて勝てませんね」(相撲誌編集者)

そもそも、大きな話題となった白鵬の先場所後の"舌禍事件"は、稀勢の里戦での取り直しにクレームをつけたことから勃発したもの。また、白鵬の連勝記録を63でストップさせたのも稀勢の里だ。何かと因縁めいた両者。
「もしも白鵬が苦しい体勢から逆転勝ちできたとしても、体に負担がかかり、怪我のリスクは負わなければならないでしょう」(同)
そうなれば、大横綱に引導を渡すことになる。

稀勢の里と同じく大関の豪栄道(境川部屋)は、大阪府寝屋川市出身。大関昇進後、初の地元場所だけに、"ご当地力士"として場内の声援を味方にすれば、十分に勝機はある。
好角家で知られる漫画家のやくみつる氏が、モンゴル勢の中で最も注目するのは、関脇の照ノ富士(伊勢ヶ濱部屋)だ。
「逸ノ城ばかりが注目されていますが、実力は照ノ富士が上だと思います。まず相撲が積極的。大きな体ですが、器用さも兼ね備えています」

ただし、白鵬は照ノ富士の同郷の大先輩。しかも、照ノ富士は少年時代、白鵬の父・ムンフバト氏から柔道を習ったこともある。
「お化けが嫌いで、一人部屋を拒否したこともあるほど。"気は優しくて力持ち"という伝統的なお相撲さんタイプだけに、先輩の白鵬にはつい遠慮するところがあるんだよ」(伊勢ノ濱部屋関係者)
そうなると、今場所の白鵬戦も期待薄かと思われがちだが、さにあらず。
「師匠の伊勢ヶ濱親方(元横綱・旭富士)は、舌禍事件で白鵬から批判を浴びた審判部のトップ(審判部長)。今場所は先輩何するものぞという気概でやってくれると思うよ」(前同)

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