現代の消費社会ならではのものと思われるクレームだが、3750年前、メソポタミア文明の時代にもあったことがわかった。
ティグリス川とユーフラテス川流域のメソポタミアに生まれた世界最古の文明であるメソポタミア文明。そこでは楔形文字が使われ、それを粘土板に刻んで伝達手段に使っていた。
粘土板は主に神話が刻まれていることが多いのだが、このたび大英博物館に展示されていた粘土板を解読したところ、顧客のクレームだったのだ。

要約してみると、ある顧客が貿易商に宛てたもので、「購入した銅のインゴットの品質が悪い! 金返せ!」的なことが綴られていたという。
前述のように、粘土板は神話を刻んできたという固定観念があるだろうから、解読した研究者たちは全てが明らかになった時に、なんとも複雑な気分になったのではないか。それこそクレームをつけたくなったかも?

ちなみにメソポタミア文明の粘土板には、他にもユニークなものが発見されている。
たとえば、『ビールの作り方』が刻まれた粘土板。農耕の神ニンハラに捧げるビールづくりの様子が楔形文字で刻まれていて、当時からビールが飲まれていたことがわかる貴重な資料だ。
また紀元前3000年頃に刻まれた粘土板には、複雑な薬品の調合とともに、ビールとの服用をすすめる内容が刻まれていた。ビールは神に捧げる神聖なものであったと同時に、薬としても飲まれていたことがわかる。粘土板は、太古の文化を今に伝えてくれる、貴重なメッセージボードなのだ。

なお、メソポタミアの古美術品は2003年に米軍がイラクに進攻した際、混乱に乗じてバクダッド美術館から大量に盗み出されている。最近になって盗品が見つかっているため、これからラブレターや遺書といった内容の粘土板が発見されるかも!?

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