手強い"南国沖縄からの刺客"

また、かつてのライバル・谷垣禎一(さだかず)幹事長も、"隠れ刺客"だと言われている。党幹事長として、現在は安倍首相を支えるが、
「親中・親韓でハト派を自認する谷垣氏は、安倍政権発足から2年以上経っても、中韓との関係改善が実現できていないことに苛立っていたんです。それで、この23~25日に約3000人の大軍団を引き連れて訪中するんですよ。2009年から途絶えていた"日中与党交流協議会"の再開という名目ですが、これはたまっていた鬱憤を晴らす意味合いが強い」(前出のデスク)

谷垣幹事長は昨年10月以降、党所属の衆院新人議員たちとの昼食会を頻繁に開催しているという。
「幹事長として新人議員に心得を伝授する――との名目ですが、本音は谷垣グループへの取り込みだとささやかれています。また、安倍政権とは反目の党内のハト派が彼を担ごうとする動きもあり、求心力が高まっているんです」(同デスク)

これを知ってか本人も、
「谷垣さんは自民党総裁で首相になれなかった2人の政治家の一人。ですが、党内人望が上がるのに気を良くし、首相の座に色気を見せ始めているようです」(政治評論家の浅川博忠氏)
というから"その気"なのだ。一方、安倍首相の"永遠のライバル"と目される石破茂地方創生相は、今も"総理の夢"を見て悶々とする日々だという。
「このところ、永田町で石破氏の影はめっきり薄くなりました。安倍政権発足後、"権限なき"幹事長に据えられたかと思えば、今度は地方創生担当なる新造ポストで、閣内に閉じ込められました。これでは謀反を起こすのも難しいでしょう」(前出のデスク)

ただ、それでも心中は"今に見ておれ"なんだとか。
「安倍首相が国会答弁に立つと、後ろの大臣席に控えた石破氏はしばしば、"オレとは違うなぁ"と、大きく首を傾げる仕草を見せます。こうした場面ひとつ取っても、石破氏が首相に心服していないことがうかがえます」(前出の鈴木氏)

そんな"不屈の刺客"石破地方相に、思わぬ援軍が登場したから面白い。
「辞職した西川氏の後釜に座った林芳正(よしまさ)農水相です。林氏は石破氏と気心の知れた仲。しかも、彼自身も12年秋の総裁選に立候補するなど"ミスター野心家"なんです。安倍内閣で一人浮いていた石破氏にとっては、"百万の味方"を得た思いのはずです」(前出の夕刊紙記者)

安倍首相の寝首をかく機会を虎視眈々とうかがう面々。ただ、刺客は永田町だけにいるわけではない。
米軍普天間基地の名護市辺野古への移設に、強硬反対姿勢を貫く沖縄県の翁長雄志(おながたけし)知事も、安倍首相にとっては厄介な存在だ。
「翁長県知事が上京し、幾度となく政府要人との会合を要請しても、首相はもとより菅義偉官房長官も、面会を拒否しているのはご存じのとおり。そればかりか、沖縄振興予算も前年比で約5%減額されています。安倍官邸は、辺野古移転を認めない翁長県政を徹底的に無視する姿勢ですね」(前出の夕刊紙記者)

八方塞がりの翁長県知事は、奇策に打って出た。
「翁長陣営は5月に訪米し、4月の安倍首相の訪米の"成果"を半減させようとしているんです。さらに、4月に県の駐在施設をワシントンに設置し、基地問題で米政府との直接交渉を目論んでいるんです」(同)
辺野古移転がとん挫すれば、安倍政権の安全保障政策の根底が揺らぐ。
「政府は粛々と辺野古の工事を進める予定ですが、進行に遅れが出ることは間違いありませんね」(同)

日本の南端"沖縄の刺客"は、想像以上に手強そうだ。
ここにきて、再び反原発活動を活発化させている"かつての師"小泉純一郎元首相の存在も、安倍官邸には頭が痛いところだろう。
「(安倍首相は)汚染水はコントロールされていると言っていたが、全然されていない。よくもあんなマヤカシが言えるもんだ」
と、先日の講演でも"小泉節"を炸裂させている。

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