氷河期に突入した芸人界を救えるのは、やはり殿しかいない。胸の内は、「やってやるって~の」!?

ビートたけしこと北野武監督(68)の新作映画『龍三と七人の子分たち』が4月25日に全国公開される。
同作は、引退して冴えない日々を送る元ヤクザの「ジジイ」たちが主人公。
2012年公開の『アウトレイジ・ビヨンド』とはうって変わったコメディタッチのストーリーで、北野映画の新境地に注目が集まっている。

だが、そのたけし、最近は「心境の変化が感じられる」(民放局関係者)というのだ。
「これまであまりはいていなかったジーパン姿でフラッと現れたと思ったら、若手芸人と一緒に安居酒屋入ったりしているというからね」

かつての"殿"を知る近いお笑い関係者からも、
「ひと昔前なら、殿が若手と酒を酌み交わすなんて、考えられなかったこと。羨ましい限りというか、嫉妬するよね」
という声があがるのだ。

たけしといえば、この正月、スポーツ紙で、
「第3次お笑いブームは完全に終わったね。オイラの時代が第1次、ダウンタウンやウッチャンナンチャン、爆笑問題あたりが第2次。今の若手の第3次が終わって、あと10年はお笑いブームは来ないだろうね」
と衝撃発言をしていた。

つまり、
「心境の変化も、その発言も、たけしさんがそれだけ今のお笑い界に危機感を持っているということ」(お笑いプロダクション幹部)
というのだ。

実際、第3次お笑いブームのピーク時の07~09年頃には、『エンタの神様』(日本テレビ系)など、芸人がネタを披露する番組が多かった。
ところが、今や「視聴率が取れないネタ番組は"社の方針"として絶対やらない」とキー局プロデューサーが明言するほど。

このお笑い界の悲惨な状況には、とんねるずの石橋貴明やダウンタウンの松本人志もテレビで本音をブチまけ、憂いている。
石橋は、『とんねるずのみなさんのおかげでした』(フジテレビ系)で、オアシズの大久保佳代子に女芸人としての悩みを打ち明けられた際、大真面目に、
「バラエティがこれから先、どうなっていくか本当にわからない中で、"男芸人だ、女芸人だ""東京芸人だ、関西芸人だ"って言ってる場合じゃなくて……」
と危機感を露わにした。

一方、松本も『ワイドナショー』(フジ系)で、川崎市の中1男子殺害事件に絡んで、「絶対にテレビでできることがある。芸人が緊張感を和らげることで、(少年たちの雰囲気も)だいぶ変わったはず」と、こちらも真顔で話していた。

前出のお笑いプロ幹部はこう話す。
「石橋さん、松本さん以上に、たけしさんは"オイラがなんかとしないと!"という強い気持ちを持っていると思います」

では、そのたけしが描くお笑い再生計画とは――。
「今のお笑い界をなんとかしようという、たけしさんの胸の内を象徴するのが、昨年の『THE MANZAI 2014』です。芸25年のベテラン、博多華丸・大吉が4代目王者に輝いたとき、その優勝を高く評価していたのが、最高顧問を務めるたけしさんでした」(お笑い評論家のラリー遠田氏)

たけしはその会見で、
「安くて早い店の料理がいっぱい出たあと、老舗の有名な店の味を出されて"恐れ入りました"という感じ」
と2人を絶賛したのだ。

前出の民放局関係者は、
「『THE MANZAI』は年に1回ですが、たけしさんが支配人を務める『北野演芸館』(TBS系)は今、芸人たちが唯一テレビでネタを披露できる場です。たけしさんは一時、上方のお笑い界に敵意をむき出しにした時期もありましたが、今はもう、そんな意識はないのではと思います。現に、たけしさんがかわいがって『北野演芸館』に頻繁に出演させている中川家とテンダラーは、いずれも関西出身の吉本芸人です」
と話すのだ。

一方、たけしは『ラッスンゴレライ』で人気沸騰中のお笑いコンビ「8.6秒バズーカ」にはダメ出し。
面白くなければネタの途中でも、たけしが容赦なく幕を下ろす『北野演芸館』の「カーテンコーナー」に彼らは出演したのだが、わずか30秒でボタンを押され、たけしに「バカ大学の文化祭じゃないんだから」と斬り捨てられた。

「たけしさんは、半分はネタのつもりでボタンを押したんだと思います。でも、"一発屋で終わらない、本物の芸を見せてくれ"という叱咤激励の意味もあったのではないでしょうか」(お笑いプロ幹部)

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