"コピー大国"中国が、収拾不能の事態に陥っている。
「ニセ100元(約1940円)札の中国全土への蔓延(まんえん)が止まらないんです」(通信社香港特派員)
中でも、香港やマカオに隣接し、経済成長を遂げてきた中国南東部の広東省はニセ札製造が盛んだ。
「昨年だけでも12か所の偽札工場が摘発され、2億9200万元(約56億6600万円)分のニセ札が押収されたようです」

工場が設立されるほどの大規模なニセ札製造。その行為に手を染めるものは後を絶たない。
中国事情に詳しい貿易関係者は言う。
「短期間に集中して大量に刷られるニセ100元札は、1枚6元(約116円)前後で闇ルートに卸される。その差額を考えたら、とんでもない錬金術ですからね」

中国各地を取材する評論家の宮崎正弘氏も、かの国のニセ札事情をこう述べる。
「市場に流通している紙幣の2割がニセ札とも言われています。実に精巧で、一見すると真贋(しんがん)の区別がつきません」
そのため、善良な市民も知らず知らずにニセ札をつかまされてしまうケースは非常に多い。
「満員バスや混雑する食堂などで、普通に使われています。中国での偽造通貨所持・使用の最高刑は10年以上の懲役・財産没収ですが、実態は、"お客さん、これニセ札だよ""そう?"という調子です」(現地在住の日本人商社マン)

ニセ札工場は摘発できるが、一般市民の取締りまでは手が回らない。
「となれば、ニセ札をつかまされた被害者は、今度はどこかでそのニセ札を"ババ抜き"のように使う。最初に本物の紙幣を渡して支払い、理由をつけて一度返してもらう。そのあとすり替えたニセ札を渡すんです。店側が2度目は安心して確かめないことを知っているんです。こうして中国ではニセ札がどんどん流通していきます」

ホテルや高級レストランには、当然、ニセ札発見機も導入されているが、
「その発見機自体がニセ物。日本製を輸入し、分解して複製を作るが、まったく機能していない。銀行で下ろした札の中にニセ札が混じっていたという笑えない話もあるほどです」
この事態に中国の国民はどう対応しているのか?
「外貨や金に換えていますよ。自分の国の貨幣をまったく信用していない証拠ですね」(宮崎氏)

まだまだ"ババ抜き"は終わらない!?

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