噴火から身を守る3アイテム

地図を見ればわかるとおり、富士山は3つのプレートの接合点に近く、地震との関連が特に懸念される山。
なんと、木村氏はかねてから〈2014年±5年〉に噴火すると予測してきた。
「前回の噴火から300年という周期の問題もありますが、富士山の下の火山性地震活動が活発化し、いろいろな兆候が出ているんです」(木村氏)

記録としては最も新しい江戸時代の1707年に起きた宝永の大噴火では、江戸の町が日中でも暗くなるほどの火山灰が降り注ぎ、甚大な被害を発生させた。
内閣府が2006年にまとめた「災害教訓の継承に関する専門調査会報告書」は、この宝永噴火を想定して、富士山噴火の被害総額を1兆2000億~2兆5000億円と推定、日本経済に決定的なダメージを与えるとしている。

しかし、木村氏は、予想される富士山噴火が「宝永型」になるとは限らないと予測する。
「宝永噴火より前の860年代に『貞観の噴火』がありました。宝永噴火は、山頂から見て南西側部分が噴火したのに対し、貞観噴火は北東側から溶岩を吹き出すタイプ。私の研究では、次回の噴火は、どうも貞観型ではないかと思われるんです」
国や自治体は万が一の準備を進めているが、想定から外れる噴火が起きたとしたら、最悪の事態もありうるだろう。

また、先に述べたように昨年、甚大な被害をもたらした御嶽山についても、木村氏は「あれで噴火活動が終わったのではない」と警鐘を鳴らす。
「昨年の噴火は、あくまでも前兆です。これから本格的な噴火が起こる可能性が高いので、注意が必要でしょう」
噴火はすでに収まったとして、付近のスキー場も今年2月に再開されているが、決して油断できない。
また、一時の活発化した状態から、小康状態になったとされる火山は、霧島山も同様だ。
08~10年にかけて小規模な噴火を繰り返し、11年1月に本格的なマグマ噴火を起こした際に、気象庁は噴火警戒レベルを「3」に引き上げたが、現在は「2」に格下げとなっている。それでも木村氏は、危険だというのだ。

なぜなのか、同氏が解説する。
「これらの火山は、噴火が少し収まったように見えても、火口底が上がったままで、下がっていません。これは、"マグマの頭が見えている状態"が続いているということなんです。ですから、この特徴が確認される火山は、いつ、何があっても不思議ではありません」
危険な火山を把握しておくのと同時に、知っておきたいのが、いざ噴火した際に身を守る術だ。防災ジャーナリストは言う。
「火山からの距離や、どのような噴火なのかによっても対処法は変わりますが、あふれ出る溶岩から逃げるという特殊な状況でなければ、ヘルメット、ゴーグル、防塵マスクは必須となります」

この3つを完備しているという人は少ないだろうが、その重要性を次のように続ける。
「御嶽山噴火に被災した人でも、ヘルメットをかぶるなど頭部を守った人のほうが、命が助かっている確率は高かったんです。また、噴煙や火山灰によって目や呼吸器をやられてしまえば、そもそも逃げることができなくなります。頭部を守ると同時に、視界と呼吸を確保することは徹底してほしいですね」

今回、指摘した場所以外にも、地下でマグマが妖しくうごめいている火山は存在する。
いざという時に慌てないため、そして何より自分の命を守るために噴火への知識を深め、万全な対策をしておきたい。

本日の新着記事を読む

  1. 1
  2. 2