「ハード、時代に関しては、ある意味時間に身を委ねるしかありません。技術の革新や工事実例の積み上げで解決できるかもしれませんし、少なくとも東京五輪までは価格上昇は続きます。重要なのはソフトの面で、まずは、住民団体(管理組合)の執行部である理事会や理事会の諮問機関である修繕委員会の活動を応援すること。彼らも住民のひとりであり、ボランティアとして大きな課題に立ち向かっているので、よほどのことがない限り住民が支える必要があります」(深山氏)

一方で、業界事情に明るい人や政治力の高い住民が理事や委員に就任し、彼らに依存度を高めてしまうと、施工業者との癒着(リベートや便益供与)により、タダでさえ割高になりがちな修繕工事がもっと高くつく危険もあるという。
「業者選定プロセスを注視し、合理的な広報で少しでもリーズナブルな施工ができるように注視することが大切です」(深山氏)

対して、これからタワーマンションを買おうとする人もいるはず。注意点はないだろうか。
「外観で物件の良し悪しを判断することは、ほぼ不可能です。そのため、マンションの財務情報(毎年の会計資料)と長期修繕計画(住民から徴収する修繕積立金の額が妥当か? 修繕工事の計画は妥当か? 修繕積立金は将来どれくらい値上げするのか?)をチェックして、かつ総会資料から理事会の熱心さ(住民の意識の高さや議論の妥当性)を他のマンションと比較して選ぶのがもっとも確実なマンションの買いかた。マンション運営も企業運営も結局人ありき、ということです」(深山氏)

タワーマンションともなると居住者も多く、ひとつの町そのもの。住むエリアで利害も生じるだろう。それが大規模修繕という問題に直面し、ほころびが表面化したといったところか。デベロッパーはここまで予測できなかったのだろうかという疑問も残る。だがいずれにしろ、今後さらに大きな問題として取り上げられる可能性は極めて高い。いま住んでいる人、これから住む人・買いたい人、それぞれに何なんらかの手立てが求められる。羨望の的だった場所は、案外、砂の城なのかもしれないのだ。

●取材協力
マンション管理・修繕コンサルタント
メルすみごこち事務所
http://e-sumigokochi.com/

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