白鵬を除去したい協会の意思

ところが、昨年7月、協会内部の強い声に押され、北の湖理事長が「年寄(親方)の資格があるのは、日本国籍を有している者に限る」と言明したのだ。
白鵬が尊敬する父ムンフバト氏は、モンゴル初の五輪メダリスト。その父は白鵬の帰化に反対しており、事実上、白鵬が親方になる可能性はゼロになった。
先のやく氏も「その苛立ちが"モンゴル大統領になる"という発言につながったんだと思います」と言う。

また、それは協会に気を遣う必要がなくなったことも意味する。こうして舌禍騒動を起こし、協会と対立することになった白鵬は、この春場所、味方であるはずのモンゴル人力士たちの"裏切り"にもあっている。
「春場所は、伊勢ヶ濱部屋勢の活躍が目立ちました。関脇・照ノ富士が白鵬を破り、千秋楽では横綱・日馬富士がその照ノ富士の援護射撃とばかり、白鵬を苦しめました。伊勢ヶ濱親方(元横綱・旭富士)は、白鵬が批判した審判部のトップ。角界の主流派が部屋を挙げて白鵬包囲網を敷いていたんです」(相撲担当記者)

ご承知のとおり、その両力士とも白鵬の同胞だ。
「白鵬は自身を除去したいという協会の意思を感じ取り、先輩の朝青龍のように追放されかねないと危機感を募らせています。彼は、そもそも朝青龍の"追放"にも不信感を抱いてましたからね」(スポーツライター)
春場所前、モンゴルの首都ウランバートルで、日本の国民栄誉賞に当たるモンゴルの「労働英雄賞」を授与され、エルベグドルジ大統領から「モンゴルの名誉を高めた」と称えられた白鵬。ここでも大統領への道を強く意識していただろう。

「大統領の被選挙権は"45歳以上・直近5年間のモンゴル在住"が条件。まず来年の春場所までは横綱として優勝を重ねて母国へ凱旋、並行して大統領選へ向けたビジネスを展開するプランだと聞いています」(前出のスポーツライター)
手始めに行っているのは、白鵬が北海道で栽培する"白鵬米"の販売。
「日本での事業は軌道に乗っています。モンゴルで、この白鵬米事業が成功したら、モンゴルの食糧事情は大きく改善。白鵬は名実ともにモンゴルの英雄になります」(モンゴル事情通)

実は、"いろんな意味で"白鵬の先輩である元祖暴れん坊横綱の朝青龍も「労働英雄賞」を受賞、母国で事業を展開、一足先にその道を走っているように見える。
白鵬が歩む、これからの道。その意味でも、白鵬は"朝青龍化"している――。

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