梅毒は◯◯を飲んで治す!? かつての不治の病に行われていたトンデモ治療法の画像
梅毒は◯◯を飲んで治す!? かつての不治の病に行われていたトンデモ治療法の画像

『梅毒』というと、性病の代名詞という感じもするが、現在では“昔の病気”という印象が強いのではないだろうか?
ところが最近、梅毒患者が年々増えているのだ。たとえば、国立感染症研究所のデータによれば2001年度の総報告数は585件であったが、昨年2014年は10月1日の段階で1275件の報告があった。10月の時点で2倍以上なのである。年齢別に見ると20代男性の間で発生率が高く、昔の病気どころか現在進行形といってもいいのである。

そもそも『梅毒』は梅毒トレポネーマによる感染症で、主に性行為や類似行為によって感染する性病を指し、皮膚や粘膜の小さな傷が感染経路となる。
日本では、第2次世界大戦後の1955年に大流行がみられ、その後、徐々に減っていったためか、平成に入る頃には昔の病気扱いになっていた。また、初期段階であればペニシリンによって完治できることがわかっているので、昔ほど恐い病気というイメージは薄れているようだ。

そう、梅毒は1940年代にペニシリンによる治療法が確立されるまでは、不治の病と恐れられていて、実にトンデモナイ治療法がいろいろとあったのだ。
たとえば、1754年にオランダのファン・スウィーテンが発明した治療法は、昇汞(しょうこう)液を服用するものであったが、この昇汞というのは塩化第2水銀のこと。当たり前だが、この治療で水銀中毒者が急増する結果になったという。ちなみに、この方法は日本でも用いられ、杉田玄白などの書物にも記載されているほど当時としてはポピュラーだったのだ。
また水銀以外では1910年に、医学博士の秦佐八郎らによってサルバルサンという有機ヒ素化合物の薬が開発されたが、こちらもヒ素の副作用もあって使用されなくなった。
そして1927年に画期的な治療法として発明されたのが、“梅毒患者をマラリアに感染させること”であった。病原体である梅毒トレポネーマは高熱に弱いために、マラリアで出る高熱で殺そうという、毒をもって毒を制す的な治療法である。これはマラリアにはキニーネという特効薬があったので、梅毒を治したあとにマラリアを治せばいいだろうという考えの荒療治だ。しかしながら当然危険度は大きく、ペニシリンが開発されてからは、行なわれていない。

ちなみに、芥川龍之介の『南京の基督』では、梅毒を病んだ少女に、友人が「あなたの病気は御客からうつったのだから、早く誰かにうつし返しておしまいなさいよ。そうすればきっと2、3日中に、よくなってしまうのに違いないわ」という会話があるのだが、これも相当乱暴な考え方だろう。
なんといっても一番の特効薬は、コンドームを使うなどして、用心することである。

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