春といえば、学生であれば入学式や始業式、社会人なら入社式や人事異動、転職など、新しい生活が始めるシーズン。これまでにない環境を前向きに過ごしている人も多いだろう。

一方、ゴールデンウィーク前後から現れ始めるのが「五月病」――慣れない環境で期待や不安、緊張をため込んだ結果、身体や精神的にバランスを崩してしまう病だ。以前は、新入生や新社会人によく見られ、この時期に遅刻や欠勤が目立つと五月病を疑われたものだが、近年は人事異動や転職が目立つようになったことから、誰もがかかる可能性があるという。

ちなみに五月病という病名は正式にはなく、新たな環境に適応できなかったり、それに起因する身体・精神的な症状をまとめて、そう呼んでいる。病名をあてはめるなら「適応障害」が該当するそうだ。

主な症状を挙げるなら、倦怠感や虚脱感、集中力の低下、肩コリやめまい。食欲低下や不眠も含まれるという。なお、五月病と呼ぶが、ストレスがたまれば似たような症状は出てくるので、必ずしも時期的な病気ではない。いつかかってもおかしくない、ということだ。

五月病は環境に適応するに従い症状がなくなることもあれば、異変が長引いて、本格的な適応障害やうつ病といった精神疾患に進展することもあるので、決して一過性と侮ってはいけない。もし、次のような症状を感じたら五月病を疑い、仮に1カ月以上も長引くようなら、専門医を頼るようにしたい。医療機関やクリニック、地域の保健所や保健センターに相談してみることだ。

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