「特殊作戦」の最強は千葉県!!

「北海道は、他の地域を寄せつけない"オンリーワンの強さ"を誇っています」
と断言するのは、軍事フォトジャーナリストの菊池雅之氏だ。

「北海道は冷戦期に最大の仮想敵であるソ連軍の上陸侵攻を防ぐために、極めて手厚い陸上戦力が投入されているんです。陸自が保有する戦車の大半と、戦車に随行して戦う89式装甲戦闘車、強力な火力で敵陣地を砲撃する99式155ミリ自走榴弾(りゅうだん)砲などはすべて、北海道のみで運用されています」(菊池氏)

北海道には、3個師団に加え、1個旅団が設置されている。
「大規模な演習場もあるため、戦車部隊以下あらゆる部隊が精強無比です。人員や装備など、陸自戦力の4分の1が北海道に集中しており、北海道のみで、小国の軍隊に引けを取らないほどの戦力がありますよ」(前出の井上氏)

ちなみに、北海道には、千歳にF-15J戦闘機の部隊もあり、空軍戦力も充実している。
「『さっぽろ雪まつり』など地元住民との交流も盛んです。雪まつりでは自衛隊が巨大な雪像を作るのが恒例。隊員も、雪まつりの担当を命じられることを名誉に思っています」(前出の菊池氏)

東北北部も高い戦力を誇っている。
「青森には海自の拠点である大湊があり、空自の三沢基地のF-2戦闘機は、対艦攻撃もこなす万能機。陸は、雪深い八甲田山系で過酷な冬季訓練を行う第5普通科連隊がいます。青森に"死角"は見当たらないですね」(菊池氏)

岩手駐屯地には、74式戦車の第9戦車大隊と空自のレーダーサイト、秋田には第21普通科連隊と、空自のレーダーサイトがある。青森、秋田、岩手の3県を合わせた戦力は凄まじい。東北南部3県は、これより戦力的には劣る。
「中心となるのは宮城ですね。仙台には東北方面隊の総監部が置かれ、多賀城(たがじょう)駐屯地には第22普通科連隊、大和(たいわ)駐屯地には74式戦車の部隊があります。また、芭蕉の句でお馴染みの空自松島基地には、曲技飛行でお馴染みのブルーインパルスの部隊がありますからね。F-2戦闘機の教育部隊もあるため、有事の際は空戦も可能です」(黒鉦氏)

続いて日本海側エリア、新潟と北陸に目を移そう。
「新潟港は、有事の際に米海軍の巨大空母も係留可能な要衝です」(黒鉦氏)

富山、福井両県は残念ながら目立った戦力はなし。
「北陸で気を吐くのは、石川。金沢駐屯地には第14普通科連隊が、空自の小松基地にはF-15J戦闘機の部隊が、日本海上空ににらみを利かせています」(黒鉦氏)

続いて関東。
「茨城の百里基地には、F-15Jと現在では希少な古参戦闘機F-4EJ改があり、首都上空の守りに就いています。要注目は千葉県。もしかすると、ここは非対称戦(正規戦闘ではない対テロ・ゲリラ戦闘)なら日本一かもしれません」
と言うのは前出の菊池氏。

「習志野駐屯地には、"泣く子も黙る"第1空挺団と、日本最強と言われる特殊部隊"特殊作戦群"がいますからね。彼らを前線まで迅速に空輸するヘリ部隊も、県内の木更津にスタンバイしています」

お隣り埼玉の大宮駐屯地には、地下鉄サリン事件でも活躍した中央特殊武器防護隊がいる。NBC(核・生物・化学)兵器に対処するエキスパートだ。
「神奈川には海自の中枢とも言える横須賀があります。イージス艦に加え、豪州軍も欲しがっている世界最強の『そうりゅう』型潜水艦、先日就役したばかりの"日の丸空母"『いずも』型護衛艦も横須賀の所属です」(黒鉦氏)

首都・東京には防衛省や、陸海空の幕僚監部が入るが、意外や駐屯地も8つあり、第1普通科連隊が23区の守りに就いている。
「群馬には輸送ヘリ部隊があり、昨年9月の御嶽山噴火の際、出動しています。御嶽山頂で火山ガスと灰にまみれながら、被災者の捜索に当たったのが、長野の松本駐屯地を拠点とする第13普通科連隊です。彼らは、日本アルプスでもゲリラ戦闘ができるように訓練された"山岳レンジャー"の精鋭です」(菊池氏)

中部地方では、静岡の存在が目立つ。
「静岡の富士学校は、陸自のあらゆる装備を取りそろえ、戦技を研究、指導しています。教官となる自衛官は経験豊富な猛者ぞろいですから、実戦を行ってもかなり強いはずです」(軍事ライターの古是三春氏)

近畿地方では、京都が突出していると言える。
「軍港舞鶴には、イージス艦と各種護衛艦に加え、強力な90式艦対艦誘導弾を搭載した『はやぶさ』型ミサイル艇も備える。さらには、4月から"ヘリ空母"と言われる護衛艦『ひゅうが』が合流、戦力がアップしましたね」(菊池氏)

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