かつて日本中を敵に回してその悪名を轟かせた男が再びユニフォームを身にまとう……。驚愕シナリオの全貌は!?

「新成」とは、2015年の巨人軍チームスローガンである。

「これまでのチームを一度解体し、より強いニュージャイアンツを作り上げる」
との原辰徳監督(56)の決意が込められたこの言葉を体現するように、新たな選手が活躍している。

ドラフト3位ルーキーの高木勇人投手は、4月までに先発で4勝。ドラフト2位の左腕・戸根千明投手も、リリーフとして働きを見せ、25歳の橋本到外野手は、新たにクリーンアップの一角を担うことになった。

まさに「新成」が実現しつつあるが、肝心の指揮官に、ある噂が囁かれている。
「原は今季限りで退任」――。この情報が開幕直後から、メディアや関係者の間で飛び交っているのだ。
「今季は原にとって2年契約の最終年で、2度目の登板となった06年から数えて丸10年になる。周囲には"もう限界。休みたい"と漏らしているようだ」(スポーツ紙デスク)
そして、その後任に浮上しているのが、まさかまさかの江川卓氏(59)だという。
この事態の裏には何があるのか?

話は今季開幕前、3月23日に行われた巨人軍を激励する『燦々(さんさん)会』席上での渡邉恒雄巨人軍最高顧問(88)のスピーチに遡る。
「原監督は(通算)12年目。7回リーグ優勝して、3回日本一になっている。これが最終年だなんて何かに書いてあったけど、誰も"これで終わった"なんて言っていない。13年、14年目といくかもしれない。僕は信じている。原君、頑張って」
と、壇上から原監督に熱烈なエールを送ったのだ。

この露骨な"続投要請"を原監督は、なんとも複雑な表情で聞いていたのだが、ナベツネ発言の真意を、専門誌記者が解説する。
「原監督が辞めたがっていることを察したナベツネさんが先手を打ったんです。あの場での留任要請なんて異例中の異例。それだけナベツネさんも焦っている、ということでしょうね」

その証拠に、スピーチの中で渡邉最高顧問は、
「適当な後任も目の前にいない」
と、率直すぎる発言をしている。

「この"適当な後任"は明らかに松井秀喜氏のことです。かねてから"松井監督"にご執心だったナベツネさんですが、ついに"目の前にいない"と諦めたわけです」(前出の専門誌記者)
その松井氏は、今年3月にヤンキースのGM付き特別アドバイザーに就任。近い将来の巨人復帰は、考えにくい状況になっている。

野球取材歴40年を超えるベースボールライターの江尻良文氏は、次のように語る。
「結局、すべての問題は松井の去就なんですよ。読売側としては、松井に監督をやってもらいたい。松井が監督をやれば、次は(高橋)由伸、阿部(慎之助)と、10年先まで巨人の監督は決まったようなものですからね」

しかし、肝心の松井氏の心は遠い海の向こう――。
この状況で原監督が辞めた場合、巨人軍が取るべき策はあるのだろうか。

巨人軍の事情に明るい記者によると、読売グループは緊急事態に備え、本社社長室に、スポーツアドバイザーという肩書で巨人OBを所属させている。
03年オフ、原監督がコーチ人事でフロントと対立して辞任した際に、アドバイザーだった堀内恒夫氏が急遽、監督に就任し、その機能が明らかになった。
現在、アドバイザーはその堀内氏(参院議員)と、鹿取義隆氏、そして長嶋一茂氏の3人。だが、彼らはいずれも、"次期監督リスト"には入っていないという。
「巨人軍監督は三原脩、水原茂に始まり、川上哲治、藤田の元ちゃん(元司)、そしてONと、歴代、スターが務めてきた。いつしか巨人の監督は、生粋の巨人OBでビッグスターでなければダメ、ということになったわけだ」(球界事情通)

前出の江尻氏も言う。
「巨人の監督の条件ははっきりしていて、論功行賞です。つまり、現役時代にどれだけチームに貢献したか、どれだけお客さんを呼べたのか、ということです」

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