一つの道を究めたからこそ、他人の心を動かすことができる。芸能界で第一線を常に走り続ける怪物の咆哮を一挙出し!

ビートたけし、明石家さんま、タモリ――。
1980年代から、芸能界のトップランナーとして君臨し続けてきた「お笑いビッグ3」の勢いは2015年の今日になっても、いまだに衰えを見せない。

たけしは、新作映画『龍三と七人の子分たち』が4月25日から公開され、世界中から注目を浴びているのはご存じだろうが、
「さんまさんは4月開始の新番組『さんまのお笑い向上委員会』(フジテレビ系)でゲストにひと言もしゃべらせない暴走ぶりで、お笑いを徹底追求。"テレビらしいテレビ番組"を復活させたと話題になっています」(広告代理店社員)

タモリは、昨年3月に『笑っていいとも!』が終了。31年半も続いた番組に終止符が打たれただけに、引退説まで飛び出たが、
「『いいとも』の拘束時間がなくなって、『ブラタモリ』(NHK)が全国拡大したほか、『ヨルタモリ』(フジ系)で見せる宮沢りえとの掛け合いがウケています。視聴率も10%以上を記録する好調さです」(同社員)

浮き沈みの激しい芸能界で3人が第一線に居続けるのは、芸の実力はもちろんだが、人間性が優れていることも大きい。今回は、その内面性があふれる彼らの言葉を振り返り、そのスゴみに迫った!

まずは、誰もが知っている3人の代表的な名言を振り返ろう。
たけしの「赤信号、みんなで渡ればこわくない」は、デビュー時の伝説的なネタ。ひと言でズバリと物事の本質を突くたけし流は、ここから始まった。

さんまといえば、「生きてるだけで丸もうけ」が有名だ。いかにもお笑い芸人が言いそうな楽天的な言葉に聞こえるが、芸能評論家の三杉武氏がその背景を話す。
「さんまさんは、お父さんが再婚したり、弟さんを火事で亡くされたりと、実は幼少期にかなり苦労されています。そういうことを一切表に出さず、常に明るいキャラで全力投球。根底にある哲学が、これなんです」

また、タモリの「やる気のあるやつは去れ」は一見すると逆説的だが、「よく考えると、これほど理にかなった言葉はない」と言うのは放送作家でライターの尾谷幸憲氏。
「やる気を見せたがる人って逆に信用できないんですよね。最近の新入社員は"できます""やります""だめでした"の三段活用が多く、下手なやる気は空回り。一方で、人を騙してでもガツガツと契約を取ろうとすると、逆に、いろいろなものを失ってしまいます」

3人の言葉の深さが、これだけでもわかろうというもの。そんな彼らが人生論を語ると、どうなるのか。
まずは、たけし。
「人生に期待するな」
前出の尾谷氏は高校時代に、たけしの著書で見たこの言葉に感銘を受け、その後の生き方に大きな影響を受けたという。
「期待すればするほど、失敗したときのダメージが大きい。"期待するな"というのは、ニュートラルでいなさいという意味だと思うんです。だからこそ、たけしさんは大成功を収めたのだと思います」

もうひとつ、尾谷氏が挙げた、たけしの名言が、
「『人生は金と女』ってはっきり言ってしまおう。そうやって欲望に正直に生きれば、日本人の顔も少しは活力ある顔に戻るんじゃないかな」だ。

「最近、"自分探し"なんてよく言われますけど、そんなことよりも、金と女である、と。草食系なんてカッコつけるより、頑張って働いて風俗にでも行くというほうがスッキリしませんか?」(尾谷氏)

さんまの人生論は「人間生まれてきたときは裸。死ぬときにパンツ一つはいてたら勝ちやないか」と、非常にわかりやすい。
「実は、さんまさんは意外と死生観に関わる言葉を数多く発信しています。この言葉は、お笑いをまぶしながらも、真実をついた深い内容でもある。彼の言葉を実践すれば、成功は近いような気もします」(尾谷氏)

2人に比べれば、タモリはあまり人生論的なことは口にしない。
その裏には、「名言は好きです。でも、名言を言おうとする人は嫌いです」という考え方があるからだろう。

自分を飾らないタモリは、「いまだに何かをわかったわけでもなく、ただ迷いつつ手探りでやり続けております」と、ありのままの自分をさらけ出している。
「タモリさんの言葉は深いんですが、実は、あまりナマの姿を見せず、つかみどころがないという特徴があるんですね」(前出の三杉氏)

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