テレビで見せる3人の自然体

そんなタモリが、あえて自分を語った言葉がある。
「私もあなたの作品のひとつです」

これは、かつてお世話になった漫画家・赤塚不二夫氏の葬儀の際に白紙を前に、アドリブでまとめあげた長い弔辞の一節である。
「上京したタモリさんの才能を見抜いた赤塚さんが、自宅マンションに居候させたのは有名な話。このひと言で、そのときの赤塚さんに対する感謝の気持ちの大きさが伝わりましたね」(三杉氏)

タモリを評する言葉で、最もよく使われるのが「自然体」という言葉。
『笑っていいとも!』が、あれだけの長寿番組になったコツは「はりきらないこと」と明言するほどだ。

ほかにも、
「仕事も何でも反省はしない。反省ばかりしてるとバカバカしくてこれから先、やっていけない」
「(遊びは)真剣にやれよ! 仕事じゃねぇんだぞ!」
とも発言している。

その果てには、
「よく考えてみると、なんか俺、テレビに出てるほうが本来の自由な自分でいるような気がするのよ。日常生活のほうが演技しているような気がする」
と自分を分析するのだ。

「テレビで、あそこまで自然でいられる人はいません。普通はカッコつけたり気負ったりと、"スイッチ"を入れる人がほとんどだと思うんです」(三杉氏)

自然体と言えば、たけしの「ダンカン、バカ野郎」も、そうだろう。公共の電波での発言とは思えないナチュラルさがある。
「この言葉は、キツそうでいて実は愛情が感じられるし、バカと言いながらも見捨てない面倒見の良さも感じられる。たけしさんのキャラクターがにじみ出ているという点で、これもまた"軽い名言"に数えていいと思うんです」(三杉氏)

軽い名言といえば、さんまの「しょうゆうこと」も挙げられる。
「ほかの人が言っても面白くもなんともないんですが、さんまさんが言うと、ものすごく面白く聞こえてしまうでしょ? 結局、"間"なんでしょうけど、なんでもない言葉を名言に変えてしまうのが、さんまさんのプロフェッショナルなところだと思います」(三杉氏)

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