"2万パーセントない"の再来

多くの日本国民が知らない、その"爆弾"こそが、「大阪密約」の正体だ。今、政界各所で頻繁に囁かれているのが、「橋下徹氏を自民党から参院選に出馬させる」という超ド級の"会心の一撃"。前出の浅川氏が言う。
「自民党との連立構想や憲法改正へのスタンスを巡って、維新が内部分裂する可能性もあります。橋下氏が自民党から出馬ということも、カードとしては十分ありえますね」

政治ジャーナリストの鈴木哲夫氏も、
「永田町から見て、橋下氏は魅力の塊です。発信力、発言力、正面から堂々と突破する力があって、特筆すべきは、そのカリスマ性。これらは、"変人"と言われた小泉純一郎元首相を彷彿とさせます。安倍政権の前で、風前の灯となっている野党勢力という縮図の中では、次世代の絶対的な総理候補と映るのも当然でしょう」

確かに、橋下氏と安倍首相の政策に共通項は多く、手を組む話は大いにありうる。鈴木氏が続ける。
「橋下氏は初めて大阪府知事選挙への出馬が取り沙汰された際、"2万パーセントない"と斬り捨てながら、その後、立候補した人。(住民投票で否決されたら引退、と口にしたが)本心で引退を考えてない限り、さまざまな角度から自分の道を考えていくでしょう」

したたかな"浪速の喧嘩師"は、まだまだ沈まない。
「住民投票で都構想がNOとなれば、即刻、もしくは何か切りのいい時期に、橋下氏は表舞台からいったん身を引く。ほとぼりが冷めた来年夏、国政に進出する、というパターンでしょう」
と言うのは、前出の政治部デスク。

「住民投票がYESだったら、"初代都知事は松井一郎(現大阪府知事)に"と、かねてから橋下氏は言ってきたとおり、頃合いを見て市長職を引く。いずれにせよ、大阪を離れ、永田町に飛び出してくるでしょう」

どう転んでも、橋下氏は国政へ。とはいえ、これは突如、降って湧いて出た話ではない。安倍首相との関係がズブズブなのは、周知のとおりだ。
「第一次内閣を体調不良で放り投げたと悪評フンプンだった安倍首相ですが、彼の再浮上のきっかけを作ったのは橋下氏でした」(ベテランの政治記者)

2012年夏、維新旋風を巻き起こし、時代の寵児となっていた橋下氏が、内々に安倍氏に「日本維新の会」の代表就任を打診したというのだ。
「これに慌てたのが、自民党長老たち。当時、自民党は野党に転落。民主党・野田政権の支持率低下を見ては与党奪還の機を見ていた折に、安倍首相が子分を約50人も引き連れて離党すれば、党壊滅にも等しい状況になります」(同記者)

  1. 1
  2. 2
  3. 3