「まさにボクシング黄金時代の到来ですよ」
こう語るのは、2008年に世界ボクシング殿堂入りを果たしたボクシング評論家・ジョー小泉氏だ。

「昔に比べ、WBO、IBFと認定団体が増えたので、単純に昔と比較はできませんが、日本に8人も同時に世界王者が存在するのは、異例ですよ」
現在、WBC世界バンタム級で8連続防衛中の山中慎介をはじめ、世界最速となる8戦目で2階級制覇した井上尚弥など、8人の世界王者が誕生している。

「しかも、大橋ジムの松本亮、ロンドン五輪金メダリストの村田諒太など、世界王座にいなくても、近い将来ベルトを巻くであろう選手がたくさんいます」(前同)

日本ボクシング界が大きな盛り上がりを見せる中、特に注目を集めているのが内山高志(35)だ。内山は5月6日に行われたWBAスーパーフェザー級タイトルマッチで、タイのジョムトーン・チューワッタナに"KOダイナマイト"の異名どおり、2R1分15秒でTKO勝ち。
「連続防衛記録を10に伸ばし、具志堅用高が持つ日本記録13に迫る、歴代2位タイとなりました。しかも、11戦のうち、9戦がKO勝ち。KO率でいえば、すでに具志堅を上回り、日本歴代ナンバー1です」(スポーツ紙記者)

日本ボクシング界のエースに昇りつめた内山だが、決してエリート人生を歩んできたわけではない。
「内山はボクシングの名門・花咲徳栄高校時代、インターハイはベスト8止まり。拓殖大学時代には全日本で優勝しましたが、その後普通のサラリーマン生活へ。その傍らアテネ五輪を目指し、アマチュア選手として活動していましたが、アジア予選の1回戦で敗退しています」(前同)

ただ、そのサラリーマン経験が今の内山に大きなプラスとなっていると指摘するのは、前出・ジョー小泉氏。
「彼が優れているのは頭脳明晰なところ。とても礼儀正しく、会話の端々から頭の良さが伝わってきます。サラリーマンを経験したことで、社会人としての状況判断能力や自己管理能力が磨かれたんでしょう」

一般的に、減量後の解放感から暴飲暴食に走ってしまうボクサーが多い中、内山は常に自己管理し、ウェイトコントロールを行っているため、減量も普段5キロほどで済むという。
「何より、あのパンチ力。早いラウンドでKO勝ちするので、体にほとんどダメージが蓄積しないので、今後、まだまだ防衛記録を伸ばすでしょう。具志堅さんの13連続防衛を超える日も近いと思います」(前同)

5月27日に左肘の手術を行うことが発表されたが、幸いにも軽症で術後すぐに、練習を再開できるという。日の丸を背負った拳士たちの活躍に期待したい!

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