「人身売買」という言葉にはあまり現実味を感じられないが、現代の日本でも人身売買罪が適用されるケースはある。

2007年、風俗嬢が暴力団員の風俗経営者に遅刻や無断欠勤の「罰金」として借りてもいない借金を背負わされ、逃走したところ捕えられて、別の風俗店に売り渡されるという事件に人身売買罪が適用されている。

これは古くは遊郭の一部で行われていたといわれる手法と同じで、洗濯代やメシ代、客引き代のほか、店が勝手に決めたノルマなどを科せられるもので、客が取れなければ借金は膨らむ一方。気がつけば返せないほどの額の借金を背負わされるという。こんなものが現代にあること自体が信じられないのだが……。

そして5月7日、茨城県警生活環境課などは、児童ポルノ映像を撮影するために当時中学3年生の女子生徒(14)を「売買」したとして、茨城県土浦市の風俗店経営者(25)と群馬県太田市在住の会社員(38)を児童買春・ポルノ禁止法違反(児童買春等目的人身売買)の容疑で逮捕した。

同署によると、2人は2月21日、土浦市内のホテルで女子生徒を現金15万円で売買したという。女子生徒は当時、家出をしており、風俗経営者の自宅で寝泊まりしながらデリヘル店で働かされていた。ちなみに15万円のうち女子生徒に渡ったのは2万円。そして女子生徒は22日朝まで性行為の撮影に応じ、その後、風俗経営者の自宅に戻ったそうだ。
風俗経営者は3月、女子生徒に売春させたとして逮捕されており、スマホの通話記録などから人身売買の容疑が浮上、再逮捕となった。

一方、女子生徒を買った会社員の自宅からは、この女子生徒以外の未成年とみられる女性を撮影したDVDが数十枚見つかっている模様。「5年ぐらい前から撮っていた」と話しているという。

児童ポルノ映像を撮影する目的で行われた人身売買の摘発は今回が初めてとのこと。しかし同様の人身売買は表沙汰になっていなかっただけで、裏社会ではこれまでも繰り返されていたのかもしれないと思うと、薄ら寒いものがある。

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