前はどこも壁に! それでも馬を信じ


僕がこのレースを制したのは3度です。最初がオグリキャップとの初コンビで挑んだ90年。2度目の戴冠は憧れのゴドルフィン、ロイヤルブルーの勝負服を身にまとった95年(パートナーはハートレイク)。3度目が09年のウオッカです。

ほぼ思い描いていたとおりに勝てたオグリキャップ、ハートレイクに比べ、ウオッカのときは、最後の直線で計算に微妙な狂いが生じていました。

前にも後ろにも横にも馬がいて。一瞬、強引に出ることも考えましたが、ウオッカなら大丈夫……安全策を選択したのが失敗でした。
わずかに開いた隙間にディープスカイが飛び込んだのを視界で捉えながら、馬一頭分、外へ持ち出しましたが、そこも壁。さらに外に持ち出しましたが、また壁……鼻先をねじ込むスペースすらありませんでした。

――焦りませんでしたか?

レース後、当然のように聞かれましたが、少しも慌てることはありませんでした。なぜかって? だって、ウオッカですから。このウオッカの像が、東京競馬場のローズガーデンヒルズにあります。
レースはもちろんですが、競馬場にある像などを巡り、歴史に思いを馳せるのも競馬の愉しみ方のひとつ。今週末は、東京競馬場を思いっきり味わってください。いつもとは違った何かが見えてくるはずです。

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