史上最低の東大中退ライターうっかり馬之助 酔いどれ競馬奮戦記
穴馬券のAB×XY方式で借金を返済し…


前回も書いたが、アタシは落ち込んだときはよく、西新宿のションベン横丁(現・思い出横丁)を訪れた。カウンターにひとり座り、競馬予想紙を前にビールや焼酎の杯を傾ける。ツマミはたいてい焼き鳥だった。  

あれは20数年前のことだろうか。下手なギャンブルで数十万円スッてしまい、日曜日の中央競馬でそれをどうしても取り返したくて、メインレースの第34回宝塚記念を狙っていた。
予想紙を隅から隅まで目を通したのだが、どうしても穴の気配を見つけることができない。1番人気はメジロマックイーン、2番人気はメジロパーマー。いくら考えても、この2頭で堅いとしか思えなかった。

だが、この2頭の馬連は200円を割っていた。とても1本買いはできない。そんな度胸は持ち合わせてなかった。かといって、なぜか他のレースで勝負したくはなかった。

そんなとき、「どんなに堅そうなレースでも穴はある」という言葉が頭に浮かんだ。それは、当時、尊敬していた先輩のものだった。
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