優勝させた2人の元監督や昨年は"次"と言われていたミスタータイガースたちをごぼう抜きでアニキ就任!

「はよ、和田(監督)を休養させろや!」
本拠地・甲子園球場を中心に、ファンの怒声が響き渡る阪神タイガース。
和田豊監督を休養させ、平田勝男ヘッドコーチを監督代行に立てて今季をしのぎ、来季は新体制で巻き返す――すでに関西では、こんなシナリオがささやかれだしているという。
それもそのはず。開幕前は優勝候補の一角に数えられながらも、交流戦前には5位に低迷。
「投手のメッセンジャーをはじめ、昨季"四冠王"に輝いた外国人の助っ人集団が働かず、不振にあえぐ選手や故障者が続出。その象徴が5月26日の楽天戦(甲子園)でした。サードの西岡剛と新井良太が相次いで離脱。代打の切り札・関本賢太郎が三塁を守るという非常事態になっています」(在阪スポーツ紙デスク)

しかし、低迷の理由はそれだけではない。阪神OBの野球評論家・江本孟紀氏の評価は手厳しい。
「チームが一つになって戦っている雰囲気がないでしょう。すべてベンチワークの責任やね。なんでこんなところで……という采配もさることながら、とにかく監督が選手に遠慮しとる」

かくして、和田監督への批判は強まるばかり。
その監督問題は昨季から燻(くさぶ)り続けている。2位でのCS(クライマックスシリーズ)進出を果たし、かろうじて首の皮一枚でつながった(そして結果的には日本シリーズに出場した)ものの、和田監督の指導力への疑問は拭いきれていない。
「和田監督が家族に"来季も監督を続けることになった"と報告したら、"エーッ!"と、家族から不満たらたらの声が飛び出したというのは有名な話」(スポーツ紙阪神担当記者)
江本氏が、こう続ける。
「交流戦でもし借金を増やしたら、和田監督の休養という話は現実味を帯びてくると思いますよ」

では、来季の監督はどうなるのか。
「阪神のフロントは、外部から監督を招くより、コントロールしやすい内部昇格を選ぶでしょうね」
つまり、平田勝男ヘッドコーチが次期監督の最有力候補ということになる。
「せやけど、そう簡単にいくかどうか……」
というのは、さる球団関係者。そして、鍵は交流戦の日程が終了する2日後の6月16日に行われる、球団の親会社である阪急阪神HDの株主総会だという。

3年前には、株主が不調だった選手らを名指しで"不良債権"呼ばわりして大荒れ。昨年も、二軍に落とした福留孝介の起用法などについて不満の声が噴出した。
「しかも今年は、阪神球団創設80周年の節目の年。昨年の観客動員は269万人と過去10年間で最低となる一方、選手の年俸総額(推定33億7000万円)はセ・リーグでは巨人に次いで2位。それでもし、交流戦を終えても不振が続いているようだとしたら……」

つまり、株主にとって突っ込みどころ満載の状況。
「さすがにフロントとしても、ファンや株主の怒りを抑えるには内部昇格にこだわってはいられないからね。いま、OBを中心にささやかれている監督候補は4人いる――」(阪神OB)

まずは05年に阪神を優勝に導いた岡田彰布氏。阪神生え抜きから監督に就任したが、08年には2位の巨人13ゲーム差をひっくり返された責任を取り、監督を辞任した。
「その際、フロントは慰留に努めたものの、岡田氏は"自分の責任"と筋を貫き通したからね。本社(阪神電鉄)サイドには、そんな岡田氏を支持する幹部が多い」(同OB)

昨シーズン途中、和田退任の噂が流れた頃、本社の幹部から岡田氏へ、
「お願いするようなことになるかもしれない」
と連絡が入ったという情報が飛び交った。
「同時に、岡田氏がフロントの説得を振り切り、監督退任した翌々年、同じ関西のオリックスの監督になったことを"裏切り"と見る幹部もいます。したがって、岡田氏が監督へ復帰するかどうかは微妙な状況です」(球団関係者)

一方、現役時代、その岡田氏とクリーンアップを組んだ"ミスタータイガース"掛布雅之氏も一時、次期監督候補の一番手だった。
「一昨季のオフ、掛布氏が阪神の育成&打撃コーディネーター(DC)に就き、"次期監督は掛布!"というムードで関西では大盛り上がりでしたね。甲子園球場の売店では、掛布の背番号31のユニフォームが現役選手を差し置いて売り切れになるフィーバーぶり。『サンケイスポーツ』や『デイリースポーツ』も"掛布、来季入閣"などと報じ、当の掛布氏自身が戸惑い、入閣を報じた新聞社に抗議する事態になるほど、待望論は大きかったんです」(前出の在阪スポーツ紙デスク)

しかし、そのフィーバーは一過性に終わり、「今では次期監督レースではずいぶん後退した印象ですねぇ……」(同)と言う。

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