日本の隣国といえば、すぐに思い浮かぶのが韓国。近年は何かと軋轢が生じているが、カルチャーは別ということで、グルメやエンタメ分野では親しみを持っている人も多いだろう。
とりわけ、韓国が産んだ名産品として、キムチはあまりにも有名。日本でもスーパーやコンビニで当たり前のように売られ、食卓を飾ることも頻繁だ。

ところが、このキムチ、いま存亡の危機を迎えていて、かの国でも自国産より“輸入モノ”がスタンダードになっているというのだ。日本人が普段食べている浅漬けが、じつはほとんど外国産だったと例えると話が早いかも。けど、それってアリ?
実のところ、韓国では中国産のキムチの輸入が増えていて、一方でかつての最大の輸出相手である日本への出荷は不振続き……「キムチの貿易赤字」が拡大している。

5月に韓国・函谷関税庁が公表した輸出入貿易統計によると、2010年から2015年4月までのキムチの貿易赤字は8409万ドル(約100億円)。昨年のキムチ輸入量21万2938トン(輸入額1億439万6000ドル)に対して、輸出量は2万4742トン(輸出額8403万3000ドル)と、輸出量の10倍ものキムチが韓国国内に入ってきている。また、輸入のうち99%は中国産で、なんとも、お家芸を中国に奪われた格好だ。

さらに韓国産キムチの輸出量は減少の一途。2010年は2万9672トン(輸出額9836万ドル)が、2014年は先述の通り、およそ2万5000トン。最大輸出先は日本で、昨年であれば全体の約7割に当たる。

ところが、当の日本人といえば韓国産キムチ離れが加速し、輸出量低下の大半の要因は、これ。背景は円安が挙げられるが、他にも両国間の関係悪化も無関係ではないだろう。また、日本メーカーは国産野菜を使った日本人向けキムチの製造にも積極的で、相対的に韓国産キムチの魅力や競争力は低下傾向にある。

なぜ、こういった輸出入の逆転現象が起きているかというと、中国産キムチの価格競争力が圧倒的に優位なためだ。安さを武器に韓国産を駆逐し、いまや飲食店はおろか、病院、学校の給食、社員食堂にまで浸透している。ところが、厳しい衛生基準を設けているため、韓国産キムチの対中輸出は、ほぼゼロ。不平等(?)な現実が露呈している。

韓国としては、キムチの輸出量が日本に集中していることから、輸出先の多角化を推進しているというが、このままではどうなるのか先行き不透明。このままだと、韓国人にとっての“祖国の味”が隣国に乗っ取られるかもしれない。

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