現代の医学では、抜本的な治療法がいまだ発見されていない厄介な疾病も、日々の食事で防げるというのだ。

この5月に、声優・大山のぶ代さん(81)が認知症で闘病中という報道がなされたが、最近、物忘れが多くなったと感じている読者も少なくはないはずだ。そこで今回、脳を活性化させ、認知症を予防する"健脳食"を紹介しよう。

本題に入る前に、認知症に関する基礎的な知識を駆け足で説明する。
認知症は大きく2つに分けられる。ひとつが「脳血管性認知症」で、脳血管に小さな詰まり(血栓)ができて進行する。これを防ぐには血管のしなやかさと弾力性を保つことが大切だ。
もうひとつが「アルツハイマー型認知症」で、発症のメカニズムはまだ解明されていないが、脳神経細胞にβ-アミロイドが付着して進行する。
「認知症を防ぐには脳に血栓ができない血管や血液を維持することと、β-アミロイドの沈着を防ぐことが大切になります」(医療ジャーナリストの牧潤二氏)

米・イリノイ工科大学元助教授で『ボケずに健康寿命を楽しむコツ60』(角川書店)などの著書がある生田哲薬学博士によると、「サンマ、サバ、イワシなど、青魚は脳に良い食べ物のナンバー1」なのだという。

「青魚を週に1回以上食べる人は、まったく食べない人に比べてアルツハイマーのリスクが半減するという研究結果もあります。青魚に含まれる脂肪酸(DHAとEPA)は認知症の原因となる血栓を溶かしたり、脳神経細胞を冒す特殊なタンパク質(β-アミロイド)の蓄積を防ぐ働きがあるんです」

つまり、このDHAとEPAは、認知症を両面から防ぐ、うってつけの食材と言える。この効果をさらに高めるのが「緑の野菜」だ。
「アメリカのラッシュ大学の研究者が65歳以上の男女3718人を対象に記憶力テストを行ったところ、野菜を多く食べる群は、あまり食べない群に比べて記憶力が低下するリスクが40%も低くなりました。特に、緑の野菜が認知症予防に効果的です」(生田氏)
サバやイワシの付け合わせは大根おろしが一般的だが、ほうれん草やブロッコリーなど緑黄葉野菜を添えるなど、食材の組み合わせを工夫すれば、予防効果もより高くなるわけだ。

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