5年以内に南海トラフ地震が

高橋教授によれば、地震と噴火活動は4段階に分けることができるという。

第1段階は、内陸地での直下型地震の発生。
第2段階は、破壊された断層が地中でマグマ化し、それが地上に押し出される噴火の発生。
第3段階は、プレートとプレートの境目で起こるプレート型地震の発生。
第4段階は、プレート型地震により加速したプレートの動きについていけなかった部分で発生する、アウターライズ型地震の発生。

西日本は現在、1995年の阪神・淡路大震災の第1段階から、桜島、阿蘇山での噴火が見られる第2段階を経て、第3段階に差し掛かろうとしているという。
「西日本での第3段階とは、つまり南海トラフ地震です。政府は30年以内に70%の確率と公表していますが、ここ最近の九州での活発な火山活動は第3段階へ移行する兆候と捉えることができます。なので、私は、南海トラフ地震が5年以内に起きる可能性は非常に高いと睨んでいます」(高橋教授)

南海トラフは、海側と陸側のプレートが接する静岡県の駿河湾から列島に沿って九州東方沖まで伸びる。静岡市や名古屋市などの大都市を含むため、政府は南海トラフ地震の死者を33万人と想定、最も警戒が必要とされる大地震の一つだ。

一方、東日本ではどうなのか。高橋教授によると、プレート型地震である東日本大震災の発生によって、第4段階へ移行中だという。
「プレート型地震のような巨大地震が起きた場合は、必ずその後、同じような震源域で再びプレート型の地震が発生します」

確かに、1896年の明治三陸大地震の37年後に、昭和三陸地震が起き、2004年のスマトラ沖地震では8年後に、やはり近い震源域でプレート型地震が発生した。
「政府は、3・11以後、すぐに東北地方で大地震が起こることはないとし、地震発生確率を低く見積もっていますが、アウターライズ型地震の存在を考えれば、それは間違いです」(前同)

最後に、日本国民の注目度が高い富士山の噴火の可能性についてはどうだろう。
前出の木村名誉教授は、こう危惧する。
「西之島の火砕流噴火に続く御嶽山の水蒸気爆発。これは富士火山帯周辺のマグマ溜まりが上昇している証拠です。富士火山帯の最北に位置する御嶽山、最南の西之島が両方ともに噴火して、その中央に位置する富士山だけが噴火しないとは考えにくく、いつ噴火してもおかしくない状況です」

我々は災害大国・日本に住んでいるということを肝に銘じなければならない。

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