先発から抑えまで……日本が誇る若き投手陣が揃い踏み! その実力に海の向こうの目利きがくだした評価とは?

現在、セ・パ交流戦で熱戦が繰り広げられているプロ野球。10月のクライマックスシリーズ、そして、11月の日本シリーズが終われば、世界の野球ランキング上位12か国が、日本と台湾を舞台にして争う『WBSCプレミア12』の開催が控えている。

「今回が初開催となるこの大会は、WBCと並ぶ"国の威信をかけた真剣勝負の場"。この晴れ舞台で、侍ジャパンの新エースとしての活躍が確実視されている3人の若武者がいます」(スポーツ誌記者)

その3人とは、日本ハムの大谷翔平(20)と阪神の藤浪晋太郎(21)、そして、楽天の松井裕樹(19)だ。
「大谷が札幌ドームでの開幕戦(対韓国戦)に先発登板することは、すでに既定路線だが、他の2人も日の丸を背負うメンバーに選抜されることは間違いありません」(同記者)
大リーグ研究家の福島良一氏によれば、3人の実力は、メジャーのスカウトからも高く評価されているという。
「大谷と藤浪は大型の本格派先発投手として、松井は抑えのエースとして高く評価されています。3人とも、今すぐにメジャーで通用するレベルです」

"二刀流"を掲げ、初年度が3勝0敗、2年目が11勝4敗と着実にステップアップしてきた3年目の大谷は、今シーズンはこれまで8度登板して7勝0敗。防御率も1.75と、今までとは次元の違うピッチングを繰り広げている(数字は6月4日時点=以下同)。
「大谷のピッチングは年々よくなっています。四球は減り、奪三振の数は増加。速球のスピードは相変わらずですが、速球に頼るのではなく、決め球として使っている。これは投手として長生きするためには必要なことなんです」(福島氏)

現在、メジャーで問題になっているのが、速球の多投による肘の怪我だ。
「速球を投げすぎると肘の靭帯にどうしても負担がかかってしまう。ダルビッシュも田中将大もこの問題に悩まされているわけですが、将来のメジャー挑戦を睨んだ大谷は、スピードをセーブすることによって肘に負担をかけない投球術を身につけつつあるんです」(同)

とはいえ、大谷の今年の最高球速は160キロ。過去最高の162キロに比べても、決してスピードが錆びついたわけではない。
「今年の大谷は、ここぞという時の"ギア・チェンジ"がうまい。この調子でいけば、楽天時代のマー君以来の20勝投手誕生も確実です」(スポーツ紙デスク)

ちなみに"打者・大谷"だが、今年は54打数11安打、打率・204とイマイチ。"二刀流"を批判する人々は「そろそろ投手一本に」と口にし始めているが、実は、打撃力を持っていることは決してマイナスではなく、むしろプラスになりうると福島氏は言う。
「ナショナル・リーグは指名打者制を採っていないので投手も打席に立ちます。昨年、ジャイアンツのマディソン・バムガーナー投手がワードルシリーズで投打に活躍し、チームの世界一に貢献してMVPに輝いたように、"打撃力のある投手"は、特にナ・リーグでは重宝されます」

すでに高校時代からメジャーのスカウトが本気で獲得に動いていたほどの逸材。
「メジャーの査定は、Aクラス。これに打撃のプラスアルファが加われば、特Aクラスです。メジャー移籍となれば、7年契約で総額161億円というマー君以上の、それこそ200億円の値が付いてもおかしくはない」(スポーツライター)

その大谷と同じく、プロ3年目を迎えたのが藤浪だ。
「2012年の春のセンバツ大会で、お互いにエースとして投げ合って以来、大谷とライバルとして比較されることの多い藤浪ですが、あの松坂大輔以来となる高卒1年目から2年連続の2ケタ勝利をマーク。その実力をいかんなく発揮してきました」(阪神番記者)
しかし、試練の3年目。シーズン当初は負けが込んで心配された。
「実は、藤浪は2年目にカットボールをマスターしてから、この新しい"武器"が気に入り、やたらと多投するようになったんです。カットボールに頼りすぎたため、本来のストレートが生きなくなってしまいました」(同記者)

流れが変わったのは5月14日のヤクルト戦。この試合の途中から、明らかにカットボールの数が減り、ストレートを中心に組み立てる投球に変化したのだ。
「試合中、相変わらずピリッとしない藤浪に、バッテリーを組んでいた捕手の鶴岡一成が"もっと自分のストレートを信じて、真っ向勝負しろよ"と喝を入れたそうです」(同)

この試合で"覚醒"、9回1失点で3月29日以来の2勝目を手にした藤浪は、続く5月20日の巨人戦でも好調を持続。ストレート主体のピッチングで巨人を相手に初完封を果たした。また、5月27日の楽天戦では勝利投手にこそなれなかったものの、10回0失点の好投で勝利を引き寄せた。
「連続イニング無得点記録を26にして迎えた6月3日のロッテ戦では、7回に得点を許し、記録は32回で途切れたものの、防御率は1.92と、ついに2点台を切ってきました」(夕刊紙記者)

これまで3勝4敗と負けが先行しているが、勝ち星が上回るのも時間の問題だろう。
「高校時代、メジャーのスカウトたちは、藤浪に"マウント・フジ"というニックネームをつけていたとか。手足の長い身長198センチの恵まれた体から繰り出される角度のある最速157キロのストレートを投げる本格派の先発投手は、メジャーもノドから手が出るほど欲しいはずです」(同記者)

最近の藤浪を見て、メジャーの評価は一段とランクアップしているのは確実。
「もともと、メジャーは高校時代から藤浪を高く評価しており、それは少しもブレていません」(福島氏)

メジャーの評価は、大谷と同じくAクラスといったところか。

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