そこでAIIBが登場する。

先のたとえ話を続ければ、400兆円の金融資産もないまま、日本でバブルが崩壊したとしよう。既存の金融機関は、いつ破綻するかわからなくなり、金融システムが機能不全を起こして、まともな経済活動できなくなる。

そこで仮に「トヨタ」が工場や生産した自動車を担保に社債を起こし、中京全域で投資を行う金融機関を作ると提案したとすればどうだろうか。取引企業などは、こぞって出資するはずだ。これがAIIBを理解するもっともわかりやすい説明となろう。

そう考えれば、「トヨタ投資銀行」の設立に猛反対するのは、当然、バブル崩壊で破綻している既存の金融機関となる。そんなものができれば、先送りやごまかしができなくなり、完全に破綻してしまう。そのうえで経営者は背任横領などで根こそぎ逮捕され、蓄えた資産もすべて失う。だから、「トヨタ投資銀行はインチキだ!」「出資するお金があるなら、我が銀行に預けろ」と、必死にだまそうとする。

そのような、アメリカを中心とする金融マフィアによるプロパガンダに、ものの見事にはまっているのが、現在の日本なのである。

今の状況を放置しておけば、日本が保有する郵貯、農林中金、年金といった優良資産520兆円はアメリカに奪われることだろう。それで従来の「ドル本位制」が回復することもなければ、たんに問題の先送りに利用され、天文学的な額となった不良債権のごまかしに利用されるのがオチだ。大切な日本の資産をドブに捨てるはめになりかねない。

このあたりの実情は、2015年5月に刊行した『日本はなぜ、アメリカに金を盗まれるのか?』(メディアックス)で詳しく述べている。日本人の大切な資産を守るためにも、ぜひ、一読してほしい。


ベンジャミン・フルフォード
PROFILE
1961年カナダ生まれ。80年代に来日。上智大学比較文化学科を経てカナダのブリティッシュ・コロンビア大学を卒業。『日経ウィークリー』記者、『フォーブス』アジア太平洋局長を務める。その後、フリージャーナリスト、ノンフィクション作家として活躍中。著書多数。











『日本はなぜ、アメリカに金を盗まれるのか? ~狙われる日本人の金融資産~』

出版社:メディアックス 
発売:2015年5月27日 四六判256ページ 
定価:1500円+税
ブラック企業国家・アメリカにだまされるな! 世界経済を支配してきた「ドル発行詐欺ビジネス」は破綻寸前。崩壊するアメリカは日本の金融資産に狙いをつけ、TPPで郵政、年金、農協マネー総額500兆円の収奪を企てる。アベノミクスは失敗、操られる安倍政権は天文学的な借金の連帯保証人となる。アメリカに「お金」を盗まれ続ける日本、私たちの大切な財産をいかに守るべきか、徹底解説する。

本日の新着記事を読む

  1. 1
  2. 2
  3. 3